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誓約の地/漂流編・64<楽園(7)>



大きく揺れ出す様々な想いの始まりは、小さなイベントだった。


遭難中に抱える、不安とストレスの解消が目的の水着選び。

それが思わぬ歪みを生みだしていく――







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 いつもより色っぽい優奈の水着姿に男性陣の視線がからみつく。

 優奈自身は気にしていない。その事に苛立ちはじめたのはヒョヌの方だ。

 完全に顕わになった身体のラインを、他の男の前にさらしているのが何故か無性に気になった。

「どうしたの?」

「別に」

「怒ってるの?」

「怒ってないよ」

「なんか変だよ?」

「――別に優奈に怒ってるわけじゃないよ。心配しなくて大丈夫」

「――――?」

 黙ってしまった優奈をみて、ヒョヌは苦笑する。

 優奈が落ち込むことはないのに――

 なんとなく罪悪感でいっぱいになって、少し明るく声を掛けた。

「優奈、――着替え、持ってる?」

「え? あ、うん。さっき着ていたワンピースなら……」

「それなら大丈夫。――それを持って、ちょっと散歩に行かない?」

「ホント? 行く!」

 嬉しそうに笑う優奈に少し気分が高揚した。









  
     ***










 森の奥にある高原のような開けた丘。

 前に優奈を抱こうとして、修平の邪魔が入ったのを思い出したヒョヌは苦笑する。

 あの後の自分の感情が蘇って息苦しい。

「やっぱり、いいよね? ここ」

 無邪気に喜ぶ優奈を後ろから抱きしめると、仄かに漂う芳香に何故か眩暈がした。

 突然、ふっと息を吐くように笑ったヒョヌに、優奈はもう一度確認する。

「どうしたの?」

「――――」

「オッパ?」

 優奈の髪に顔を埋めながら、ヒョヌは囁く。抱きしめる腕に自然と力が入る。

「優奈が、欲しい」

 優奈は一瞬ビクッと反応して、抱きしめているヒョヌの腕をぎゅうっと掴んで、そっと微笑んだ。

「オッパ。お願い、聞いてくれる?」

「……お願い?」

「いっぱい愛してくれる?」

「――――!」

 ヒョヌが驚いて思わず腕を離すと、優奈は振り返ってヒョヌを見つめた。

 照れたように微笑む優奈を、ヒョヌはもう一度抱きしめる。

 首に両手をかけて身体を預ける優奈の細い腰を支えながら、それを受け止めたまま長いキスを繰り返す。

 抑えられない衝動を抱え、いつしか彼女を押し倒した。

 平らな岩の上に横たわり、覆いかぶさるようにしてキスを繰り返し、ワンピースの裾をすり上げていく。

「優奈」

 ヒョヌが囁くように呼び掛けると、優奈が少し顔をしかめた。

「どうした?」

「ん、ちょっと背中が……」

 ヒョヌは横になっている優奈の背中に手を差し込むと、岩の感触が伝わってきた。

 平らになっているとはいえ、岩肌には凹凸がある。

 普通に横になるだけならまだしも、彼女の上にはヒョヌが覆いかぶさるように身体を重ねていた。

 小さな凹凸が優奈の背中に当たり、ヒョヌが動く度に擦れていく。

「あ、そうか。ごめん」

「ううん、大丈夫」

 優奈は慌てて平気だと訴えたが、このままだと彼女の背中を傷つけてしまう。

 ヒョヌは脚を地面に投げ出すようにして岩に腰かけ、優奈を自分の膝の上に抱え上げて、向かい合わせで座らせた。

「オッパ?」

「心配しなくても、今日は離さないよ」

「――――!」

 一瞬息を飲んだ優奈の瞳を覗き込んで、ヒョヌはふっと力を抜くように笑った。

 顔を赤くする優奈の頭を引き寄せて、その身体ごと抱きしめる。

「びっくりしたけど」

「何が?」

「顔をしかめるから。――やっぱり止めようって言われたら、どうしようかと思った」

「そんなこと、言わないよ」

「ホントに?」

「ホントに」

 微笑んでいる優奈に、啄ばむようなキスをする。 

 突然、ヒョヌが顔をあげて辺りを見回した。

「どう、したの?」

「いや。また邪魔が、――とか思って」

 完全にトラウマだ、と言いながらため息をつく。

 そんなヒョヌがなんだか可愛くて、優奈は思わず笑ってしまった。

 くすくす笑う優奈を見て、ヒョヌも小さく笑った。

「無理」

 彼の呟きが聞こえて、優奈が首をかしげて笑うのを止めた。

「何が?」

「来ても――今日は止めない」

「え?」

「絶対、離さない」

「そ、それは――」

「もう、『お預け』は無理」

 その時、岩陰に隠れた2人の間を一陣の風が吹き抜けた。

「オッパ……」

 艶やかな色香をのせて囁くその声は、草木を揺らす風の奏でた音と共に宙を舞った。















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Comment

今晩は~

>「もう、『お預け』は無理」

この気持ち

よくわかりますww

  • 2011/10/30 00:19
  • いちごはニガテ
  • URL
こんばんは!
なによしです。
とうとう二人っきりに・・・・これは!しかも「今日は離さない」宣言・・・ついに二人は結ばれるのか!長かったねヒョヌさん・・・頑張ったねヒョヌさん!と応援しつつも、1度邪魔をされただけにまた来てしまう気がしてならないです・・・!いや、それでも今日は離さないって言ってしまったし、このまま愛を育んで欲しいのですが!修平さんが皆と一緒じゃない所とか、なんかまた本能察知がくる気がしてならないです。いやきっと邪推だ、杞憂だとは思いますが・・・。
毎回楽しませて頂けて感謝です(*´∀`*)
そして次回も楽しみにまってます♪
いちごはニガテさん
いちごはニガテさん、おはようございます^^
あはは。
でも、もうちょっと焦らしますww
  • 2011/10/30 09:06
  • YUKA
  • URL
なによしさん
なによしさん、おはようございます^^
ふふふ。
以下↓内緒話――白反転させてます^^
コピーの要領でクリックすると浮かびあがります


実は、ついこの間まで、ヒョヌは2回お預けを食らう予定でした(笑)
そして3回目で……拗ねる(爆)
でもそれはちょっとあざといかな~~とか思って大幅修正。。。
(ブーイングが来そうな展開でね(笑))
そのおかげで、今かなり大忙しです^^
「優芽の樹」初のR指定は近いです(笑)
ヒョヌヤ――私に感謝して!!
  • 2011/10/30 09:15
  • YUKA
  • URL
ヒョヌさんは優奈さんの事で頭がいっぱいだったのが伝わってきます♪
岩場での優奈への気遣い、離したくない思い
誰にも邪魔されることなく密着していられる時間を楽しんでいる。。。甘い♡
その後も楽しみです*^^*
  • 2011/10/30 11:57
  • 奏響
  • URL
泰響さん
泰響さん、こんばんは^^
読んでくださってありがとうございます^^
甘いですか?^^良かった♪
私の小説、「恋愛小説」のわりに、甘甘がちょっと少なめなので^^;;;
楽しんでますね~~ヒョヌ^^デレデレですよ~~(笑)
はい、頑張ります^^
よろしければ、また読みに来てくださいね^^b
  • 2011/10/30 16:27
  • YUKA
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