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誓約の地/漂流編・57<悪態(5)>



たまには一緒に過ごしたい!2人っきりの時間が欲しい!


みんなのためにと奔走する優奈を応援しながらも、


恋人同士の時間が欲しいヒョヌは……


ヒョヌ、念願の2人っきりになることが出来るのか?




★『ほんのり』H描写あり。

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「どう、しようか?」

 誰に対してかわからない問いかけを、ヒョヌは小さく呟いた。

 腕の中に納まる優奈の身体は柔らかく、仄かに甘やかな芳香を纏っている。

 それがいつもヒョヌを落ち着かせ、同時に酷く高揚させていく。

 片手で彼女の小さな頭を抱え込み、指通りのいい艶やかな細い髪を指に絡ませながらその中に顔を埋めた。

 不意に優奈の瞳を覗きこみ、どこか楽しげなヒョヌの様子に優奈は目を瞬かせる。

「希望はある?」

 ヒョヌの唐突な質問が、何を指すのか理解が出来なかった。

 それでなくても緊張で自分の動きが少しぎこちなく感じているのだ。

 ヒョヌの声にイチイチ反応する自分の心臓をなだめるのに必死で、問われていることの意味を考える余裕が無い。

 何の希望? とだけ必死で問いかけると、ヒョヌの顔に柔らかな笑みが浮かぶ。

 ヒョヌは黙ったまま優奈の唇を指先でそっと撫でて双眸を伏せ、ゆっくりと唇を落とす。

 次第に激しく、長い時間をかけて繰り返される口づけに、優奈の思考はますます蕩けていく。

「あ!」

 ふわふわとした高揚感に漂ううちに、優奈の足もとがぐらついた。

 倒れそうになる優奈を支えようとして、ヒョヌの手が優奈の胸を包むように触れる。

 ビックリして顔を上げた優奈は、頬をほんのり上気させて微笑んだ。

「ごめんなさい。足元が……」

「大丈夫だよ」

 体勢を立て直そうとする優奈を支えながら、ヒョヌはそのまま口づけてゆっくり押し倒した。

「オッパ?」

「ん?」

「あ、ここ――で?」

「ここ、で」

 大きな岩を陰にして、手前の平らな岩の上で優奈を見つめながら、ヒョヌは覆いかぶさるように身体を重ねた。

「――嫌?」

 不意にヒョヌが声を掛ける。

「え?」

「困った顔してる」

 ヒョヌが苦笑しながら瞳を覗きこむと、優奈は小さく首を振った。

「ただ――」

「ただ?」


――明るいから。


 そう言おうとして口を噤んだ。

 大きな岩が影を落としていても、森の木々が揺れて木漏れ日が差し込むこの場所は、日の光で充分明るい。

 柔らかく微笑んでいる彼の口元も、彼の目元にかかる前髪の間から覗く、その綺麗な瞳に映る自分でさえはっきりと見える。


――それが何だか恥ずかしい。


「恥ずかしい?」

「え?」

「顔に書いてある」

 優奈の唇へ啄ばむようにキスをした後、ヒョヌはふっと息を吐くように笑った。

「さすがに無理だよ」

「なにが?」

「明りを消して――って言われても」

 ヒョヌはそう言って小さく笑うと、優奈の前髪を描き上げてその額に口づける。

「なんか、バカにしてるでしょ」

「してないよ。可愛いなとは思ってるけど」

 繰り返されるキスに流されそうになりながら、ヒョヌの余裕がちょっと悔しくて、彼の頬を両手で挟んで問いかけた。

「ここじゃイヤって言ったら――止める?」

「いいよ」

「――いいの?」

「どこならいいのか言ってくれれば」

 しれっと言い放つヒョヌに、優奈は一瞬息をつめて彼を見た。

「…………」

「いいところがあるの?」

 そう問いかけられて、ますます困ってしまう。


――いい、ところ?


 いつ誰が帰ってくるかわからない教会の部屋は、お互い別の人と共同で、それ以外なら条件は同じ。

 これだけ綺麗であまり人が来なそうな場所は、この島でもきっと少ないはず。

 他には――


 急いで色々考えみるが、惚けた思考ではどこも思い浮かばない。

 自分でも本気で嫌なわけではないのだから余計だった。

 そんな考えを見透かしたように、結局ヒョヌに笑われる。

「無いなら却下」 

 そう告げると、ヒョヌは口づけたまま優奈のシャツに手を忍ばせる。反対の手でボタンを外し、唇を首筋から胸元へと走らせた。
 
 優奈が反応するのを確かめながら、下着の肩ひもをずらして直接胸に触れる。

「――ぁあ」

 可愛い声で喘ぎながら聞こえる吐息に誘われて、徐々にヒョヌの愛撫が激しくなった。

 南の島での生活が続いているのに、ほとんど日焼けの跡のない驚くほど白い肌。

 這わせた舌が、キメの細かい滑らかな肌を濡らして、欲情を抑えられなくなったヒョヌが、優奈のズボンに手をかけた。


 その時――

「――――っ奈!優奈――!」

「――――!」

「――――?」

 遠くで呼びかける声がする。

「誰?」

「たぶん、修平」

 どうやら、姿の見えなくなった優奈を探しているらしい。

「こっちに来る、かな?」

「――どうかな」

 さっきまでとは違う緊張で、身体を固くする優奈を感じたヒョヌが心の中で舌打ちすると、優奈が心配そうに彼を呼んだ。

 思わず心情が顔に出たらしい。

 ヒョヌは苦笑しながらも動揺する優奈に続きを促したが、明らかに近づいてくる気配がする。


――さすがに、この姿の優奈を見せられない、か。


 自分の欲望を落ち着かせるように、俯いたまま大きく深呼吸した。

 予想以上に落胆している自分に苦笑する。

「オッパ?」

「……いや、何でもない」

 1度盛り上がった感情を抑え込み、中断するのはかなりの努力が要った。

 苦笑しながら何とか理性を奮い立たせ、優奈のシャツの前を合わせるように閉じ、彼女をゆっくり抱き起こす。

「残念だけど、続きはまた今度」

「……うん」

 ちょっと恥ずかしそうに微笑む優奈を見つめながら、今にも崩れそうになる理性を総動員して声を掛ける。

「修平が来るかも。――優奈」

「なに?」

「先に行って」

「あ、はい」











     ***











 優奈は急いで身支度をして、そっと岩陰から出て行った。

 そこで探していた修平と鉢合わせした。

「こんなところにいたのかよ。――何してた?」

 驚いて目を見張る修平に、優奈は苦笑する。

 まだ、いくばくも離れていない岩陰にヒョヌがいる。

 ゆっくりと修平を誘導するように、その場から離れていく。

「散歩」

「……1人?」

「そう」

 ほんのりと頬を上気させ、潤んだ瞳を向ける優奈の様子を奇妙に思いながら、修平は優奈に提案する。

「……さすがに女一人は危ないだろ? 散策したいなら、今度は一緒に来てやるから」

「大丈夫よ」


――それは、ちょっと困る。


 心に浮かべた苦情を悟られないように気をつけながら、優奈は修平と共に教会へ戻っていった。











     ***











 遠ざかっていく2人の話声を聞きながら、ヒョヌは何とか自分を落ち着かせようと、岩陰で仰向けに寝転んだ。

 額に手のひらを当てて、ため息をつく。包まれる幸福感と、充たされなかった身体の熱に苛まれて息苦しい。

 優奈のなめらかな肌の感触が、まだ全身に残っている。

 切なそうな吐息と潤んだ瞳、柔らかい胸の感触、そして彼女を包む仄かな香り――

 どれもまだ生々しくて、欲情した自分を押さえきれずにいた。


 大きな深呼吸を繰り返し、早鐘のように鼓動する自分の心臓に苦笑いする。


「……あのヤロー」


 タイミング悪く――

 いや、むしろ狙ったかのようにタイミングよく現れた修平に、ヒョヌは珍しく悪態をついた。
























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Comment

こんばんは、なによしです!
って、きゃあああああ!!
と、とうとう・・・ゴクリ!
と、思ったら修平さーん!
君はエスパーか何かで優奈さんを察知しているのかい!と、思わず一人ツッコミをしてしまいました^^;
情事に及ばなかった事が、残念なのかそれとも優奈さんと同じくどこかホッとしているのか・・・自分でも分からない今日このごろ。
うむむ。どんどん感情移入してしまっている!
応援しています!(*´∀`*)
なによしさん、こんばんは^^
なによしさん、こんばんは^^
読んでくださってありがとうございます^^
修平の苦悩、ヒョヌの苦悩……
奴らはそればっかりか!!というぐらい続きます(笑)
感情移入~~~なんて嬉しい響き^^
優奈ちゃんは、苦手なんでね……こういうの(笑)
ヒョヌの頑張りに期待です^^b
――ま、そのうち♪
  • 2011/10/23 02:25
  • YUKA
  • URL
小説、おもしろいですよ。
心拍数が上がります。

これ、遭難してるはなしなんですよね。
生きるか死ぬかって時に、
ヒョヌさん、すごーーい。
  • 2011/10/23 17:31
  • 北のくまから
  • URL
北のくまからさん、こんばんは^^
北のくまからさん、こんばんは^^
コメントありがとうございます。
そうです、彼らは遭難中です(笑)
何をのん気に恋だ愛だと言っているのかと、私が呆れるほどですが^^;;
生きるか死ぬかは感じてません。
不便さはありますが、実は結構住みやすいようです。。。
ヒョヌは……もう最近そればっかりです(笑)
  • 2011/10/23 20:49
  • YUKA
  • URL
うーむ……修平くん、君はなんと間が悪い男なんだ……。

でもこのシーンの五分後に来るよりはまだマシか(笑)。
ポール・ブリッツ さん
ポール・ブリッツ さん、こんばんは^^
ですね~~(笑)
――って、もうここまで読んでくださったんですね^^
ウチ初のR指定も近いですね(笑)
  • 2011/11/03 21:26
  • YUKA
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