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誓約の地/漂流編・48<忠告(1)>




発見された教会に移動することを決めた遭難者達。


久々にベットで寝れると喜んだ優奈に、ヒョヌは……





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 教会を発見後、ヒョヌはソンホに事情を話して全員を誘導する前に教会に足を運んでいた。

 その過程で、教会から登ってきた側と反対側を進むことで浜辺まで相当近いことが判明する。

「……こんなに近かったんだ」

 そう言って苦笑するヒョヌに、ソンホも笑って声を掛ける。

「仕方ないですよ。前回はここを知らずに辿り着いたんでしょう? 教会も泉も温泉まである! 文句なく大手柄です」

 2人は教会にあった道具の中から鎌を見つけ、浜辺までの近道の草を刈っていくことにした。

 かなり大雑把だったが、浜辺から荷物を運ぶための応急処置だった。

 なるべくなだらかな道にしようとして進んだ結果、今までのキャンプ場所に比べて少し西側に出るようになった。









     ***









 見つけた教会と日記の事を全員に話し、移動することを提案する。

 救助にかかった日数のあまりの長さに、初め何人かは絶句していたが、先に日記を読んだ優奈とヒョヌが説得した。



 その晩、優奈は明日の準備と必要な物を仕分けする。

 バケツにタオル数枚、ストッキングのハタキ、箒、ゴム手袋、軍手を6人分。

 リネン類、毛布、ランドリー用のBOX2つ、人数分の着替え、医療品をまとめる。

 ヒョヌは教会の見取り図を描き、優奈と朝の掃除などの担当をきめた。

 翌朝、朝食中に説明して、荷物をもって教会に移動する。


 
 その日は、民族大移動のような騒ぎだった。

 女性陣はまず先に教会の掃除から取り掛かった。

 食堂の清掃を行い、その後礼拝堂の清掃にかかる。

 男性陣は全員で外の草刈りをした。


 ジャンとミラは途中で調理のため抜ける。

 食材のほとんどは洞窟に移動させているので、そこから必要な分を取ってきた。

 昼食の準備ができると、全員で食堂に移動し食事する。


 午後は昼食の後片づけをした後、掃除の続きを行った。

 修平・ケイタ・ツヨシ・コウジ・カズヤは火を起こせる場所を確保し、いつものように薪を集めて火を起こす。

その後、浜辺まで戻って寸胴鍋を運び、水を汲む。

 マークと料理人のジャンを中心に佐伯・ヒョヌ・ソンホとで石を組み、ガス代に見立てた調理場を作る。

 客船に残っていて使っていたバーベキュー用の網を乗せ、雨が降ってもいいようにその上に簡単な屋根を組んだ。


 夕食準備後は、焚火の前で食事をすることにした。

 執務室のような一番広い部屋を医務室とし、あとは部屋割をする。

 これが問題だった。



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 ①エリ・リョウコ  ⑥佐伯・修平

 ②優奈・杏子    ⑦チソン・ソンホ

 ③空・荷物置場   ⑧カズヤ・コウジ

 ④ジャン・ミラ   ⑨ツヨシ・ケイタ

 ⑤マーク・キャシー ⑩空・荷物置場


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 翌日から、全員で何往復もして荷物を運び、大方片づくのに1週間かかった。

 海から遠くなったので、救助見張りと教会の火の番を、毎晩2名交替でおくこととする。

 遭難伝達用として教会にあった大きな薪を浜辺に積みあげてオイルを備えて置き、ビニールシートを被せておく。

 浜辺の焚火は別に起こすことにした。

 海用と教会用、調理用とで毎日かなりの薪がいるが、幸い大きな森があるので浜辺にいる時より集めやすい。

 日の出とともに必要な作業を開始し、午前中に終わらせ午後は自由。


 例の手帳には食べられる果実とその場所、気候や洞窟の場所も記載されおかげで、以前より生活がしやすくなった。









     ***









 一通り掃除が終わり、荷物置場として衣類を置くことに決めた部屋で、優奈は相変わらず整理をしていた。

 2部屋作った荷物置き場は、男性用と女性用に分けて、下着以外の衣類その他を共有にする。

 回収した旅行用トランクに詰めていた衣類やリネン類を確認する。

 備え付けのベッドと棚を使い、どこに置こうか考えるのは楽しかった。

「やっぱり、ベッドで寝れるっていいよね」

 空いたベッドに腰かけて、その上を撫でながら呟いた。

 教会への移動を決めた日は、とにかく全員で掃除に明け暮れた。

 夕刻、日が落ちる前に男女交替で温泉に浸かる。

 発見した温泉は、奥が源泉に近く危ないので、かなり手前での入浴だった。

 足場は悪いし温度は低めだったが、疲れた体を休ませるのには効果的だった。

 それぞれが、色んな事に焦り不安を抱えていることは変わらない。

 しかし、深刻に考えていても事態は好転しない。
 
 人間の体は正直だ。

 今までも、全員が元気にしていたように思えたが、やはり疲れていたのだろう。

 温泉に浸かりベッドで寝むれたことが功を奏して、次の日の全員の表情は今まで以上に晴れやかだった。


――杏子の言った通り正解だったな。


 そんなことを考えながら、優奈は窓から見える景色を眺めた。

 緩やかな風に吹かれて、茂る木々の間から零れる光が地面に踊っている。



「ここにいたの?」

 優奈が振り返ると、入り口のドアに背を預けて、ヒョヌが笑っていた。

 ヒョヌはどうやら優奈を探していたらしい。

「何、笑ってたの?」

「ん? ベッドっていいなぁって思って。――オッパ、遊んでいたんじゃないの?」

「飽きた。まだみんな浜辺にいるよ」

「そうなんだ」

「何、してるの?」

「これ? やっと雨に濡れる心配がなくなったから、ちょっと整理しようかなって」

「また、整理整頓?」

 そう言うと、ヒョヌは優奈の隣に腰をかけた。

「こういうの、好きなの」

「好きなの? ――整理整頓が?」

 何が楽しいんだ? と疑問を浮かべるヒョヌを見て、優奈はくすりと笑った。

「手伝ってとは、言わないから」

「――言わないの?」

「だって、面白くないよ? きっと」

「そう、だね」

 整理整頓が趣味なんだねと呆れるヒョヌに、優奈はそうねと言って微笑んだ。

 肩をすくめて笑う優奈は、また傍にあった洋服を畳み始める。

「――オッパ」

「ん?」

「何、してるの?」

「ん? お手伝い」

「…………」

 ヒョヌはベッドに片足をのせ、座ったまま隣で背を向けた優奈を後ろから抱きしめている。

 優奈の腕は自由に動かせたが、胸の下で交差される彼の腕がしっかり優奈に絡みついていて動きづらい。


 彼女の首筋に顔を埋めているヒョヌに、優奈の心臓が悲鳴を上げる。

「ちょ、ちょっとオッパ! 作業しづらい」

「ん――」

「それじゃあ、手伝っているとは言わないでしょう?」

「ん。じゃあ、監督」

「監督?」

「そう。優奈の仕事ぶりを、ね」

――それは、単純に見ているだけ、ということだ。

 苦笑して腕から抜け出そうとする優奈に、ヒョヌは軽くキスをした。

「ちょっと休憩する気、ない?」

「休憩?」

「そう、休憩」

 そう言いながら何度も啄ばむようにキスをするヒョヌ。

 恥ずかしさに顔を赤くしていた優奈も、頬やこめかみに落とされる唇に反応して、クスクス笑い始めていく。

「あ、ちょっと!」

 気が付くと、ヒョヌは優奈を抱えて押し倒した。

「――――!」

 赤くなる優奈の唇を啄ばんで、それからゆっくりと舌を絡める。

「んん――――」

 ヒョヌの重みで身動きの取れない優奈は、抵抗するのを諦めた。

 顔をあげたヒョヌの手が、優奈の前髪をかきあげる。

 見つめ合いながら軽いキスを交わす甘い時間に、優奈は幸せだった。

 すると、優奈を見下ろしながらヒョヌが呟く。

「確かに、ベッドっていいね」

「……そういう意味で、言ったわけじゃないけど」

「正しいベッドの使い方」

「え? ――正しいのかな?」

「正しいんだよ」



 そうかな? と首を傾げる優奈に、笑ってしまったヒョヌがもう一度キスをしようとした瞬間――

「いい加減にしてくれる?」

「――――!」

「――――!」

 ハッと起き上った二人が、入り口のドアを振り向くと、呆れた顔で笑う杏子と目があった。

「杏子!」

「ここは、共同の部屋じゃなかったかしら?」

 気持はわかるけど、と笑う杏子に、バツが悪い2人は素直に謝った。

「誰が来るかわからないでしょ!……しかも、ドアが開けっぱなしだったわよ?」

 赤くなった優奈と、苦笑するヒョヌを横目で見ると、杏子はくすりと笑った。

「優奈。――ベッドがいいって、そういう意味なの?」

「え?」

 小さく笑いながら流すように向けられた杏子の視線に押されて、優奈は一瞬言葉に詰まる。

 そんな様子を気にもせず、気をつけなさいよと言い放って杏子は部屋を出て行ってしまった。
 
「――何で優奈に聞くんだ?」

 ヒョヌがぼそりと呟いた。

「…………」

「……まさか、ね」

 杏子は一体いつから聞いていたのだろうと、2人は思わず顔を見合わせた。



















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Comment

おはようございます!
昨日&今日の温かいコメント、うれしかったです!
おかげで大分楽になりました!

って、きゃあ~~~!!
ベッドシーンキタ━(゚∀゚)━!
と、思ったら、やはり静止がかかりましたか・・・

やっぱりベッドはいいね、って、私も杏子さんと同じ意味に聞こえてた・・・・げへへ!
なによしさん、こんばんは^^

もう、体調は大丈夫なんですか?
あまり無理しないでくださいね^^

コメントは凄く嬉しいですが、体調には気をつけてくださいね^^
もう、なによしさんは来て頂いたらわかりますよ^^

あ、聞こえましたか?

杏子姐さんは
優奈→ヒョヌへの「ベットっていい」
ヒョヌ→優奈への「ベットっていい」

どっちから聞いていたのか^^

しかし、私が書くと「甘甘」「ラブ甘」があんまり甘くない^^;;;
気を抜くとただの「エロ」に(爆)

恋愛小説としては致命的です。。。

  • 2011/10/17 17:37
  • YUKA
  • URL
前から思っていましたが……。

ベッドは「BED」。ベット、と書くと、ギャンブルで金を賭ける「BET」と混同してしまう可能性があるので気を付けられたほうがいいですね。

ちなみにわたしが「エロ」を書くと「ギャグ」になってしまうのでとほほほほ、であります。(^^;) これこそ恋愛小説としては致命的であります(笑)
ポール・ブリッツ さん
ポール・ブリッツさん、こんばんは^^
「BED」と「BET」――そうですね^^;;
ありがとうございます。
憶えている範囲で修正かけました。
また、見つけたら声をかけてください。ありがとうございます^^

いけますよ、ラブコメ♪
楽しそうです^^b
私のは、エロくも無く甘くも無く、微妙なものが出来上がります^^;;
恋愛小説がそれではいかんっ! 
――と、鋭意推敲中です(苦笑)
  • 2011/10/30 16:44
  • YUKA
  • URL
甘ぁぁぁぁい!!小心者です(爆)

なんだか最近優奈ちゃんが
娘のように思えてきた・・・!!
ミステルー・・・じゃないミステリー?

恋愛って難しいですね(´・ω・`)


  • 2011/11/05 13:47
  • 小心者
  • URL
小心者さん
小心者さん、こんばんは^^
コメントありがとうございます^^
あ、甘いですか~~~!?嬉しい*^^*
え?娘~~?(笑)
降参ですか?ヒョヌに白旗ですか~~~?
ヒョヌがニヤリと笑ってますよ、ブログの陰で(爆)
恋愛……本当にね~~なかなかね~~(笑)
  • 2011/11/05 18:02
  • YUKA
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