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誓約の地/漂流編・39<伝言(1)>





島の探索を終え、みんなの元へ合流しようとしていた2人が見つけたものは?







鬱蒼とした森7





「教会、だよね?」

「――たぶん」 

 その建物はひっそりと建っていた。

 建物の周りはぐるりと背の高い木々に囲まれ、草木が生い茂っているが、草を刈ればかなり拓けた場所のようだった。

 だいぶ年季の入った外観は、石造りのようだ。


「海から位置が高いから、見えなかったのかな?」

「これだけ周りの木が高ければ、下から見てもわからないよ」

「そうね。でも、何でこんなところに――」

「とりあえず、行ってみる?」

「うん」

 まだ日は高い。

 暗くなる前に確認しようと、2人は建物に近づいた。

 建物全体のやや右寄りにあるドアの屋根は山形に尖っていて、その建物を挟むようにして少し奥まった位置に繋がる部屋もある。

 建物にあるくり抜かれたような窓には、張り合わされた木の板が、日差し除けのようにのっているだけだった。

 右の部屋の空いた窓から中を除くと長いテーブルのようなものに白い布がかかっている。

 留守にする時の埃よけのようだと優奈は思った。

「オッパ、入ってみる?」

「ん――」

「危ない、かなぁ」

「……入りたいの?」

「ちょっと確認だけ」

「……わかった。でも、絶対僕から離れないこと」

「はい」

 2人で意を決して、少し開かれた正面のドアから中に入ると、そこはやはり礼拝堂のようだった。

 祭壇の後ろには、少し薄汚れたマリア像が見える。

 全体的にほこりが積もっていてカビ臭さが鼻につくが、上部に光の入る窓があり差し込む光で中は意外と明るい。

「人は、いるのかな?」

 右奥のドアを抜けると食堂のようだった。

 外から見た長いテーブルには布がかかり、簡素な丸椅子が部屋の端に積まれている。

 奥には調理場らしきものもある。電気もガスも水道もみあたらないが、大きな水瓶も棚に少し食器も残っている。



 調理場にあるドアは入口を除くと2つあった。

 優奈を少し下がらせ、その扉をヒョヌが慎重に開ける。

「これって――」

 1つは中に薪が山積みにされている。中は埃を被っているし湿った空気が鼻につくが、乾燥させれば使えるかもしれない。

 そう考えながらもう1つの扉を開けた。

 そこには山のような木箱。

「なんだ、これ?」

「開けても、平気なのかな……」

 興味を引かれ確認したかった。

 思った以上に中が明るかったために思わず入ったが、全く危険がないとは言い切れないんだったと、優奈はあらためて躊躇する。

 今はオッパと2人――

 体力も腕力も男性の彼とは違う。

 何かあった時、自分が足手まといになりかねない。


 人の住んだ形跡があるのに、人の気配がまるでない建物。

 今更ながら背筋がゾクッとした。

 この島は比較的危険が少ない。

 人気のない島に、見た目以上に豊かな森――

 そんなに奥まで踏み込んだわけではないが、本当なら身の危険を感じそうなものにはまだ出会ったことがない。

 暫くすると遭難当初抱いていた緊張や危機感が薄れ、気が弛む。

 そんな中、この建物を見つけた。

 人がいるかもしれない――つい興奮と好奇心で足を踏み入れたが、それも好意的であるとは限らない。

「怖い?」

 ヒョヌは優奈の顔を覗きこむように確認した。

「え? ううん、平気」

 そう告げる優奈に小さく微笑んで、ヒョヌはそこにあったバールを手に取った。

「開けるの?」

「いや、この先を調べるのに護身用。この中身は後でにしよう。あっちの奥を確認したら、一旦みんなのところに戻ろうか」

「そうだね」



 礼拝堂から左奥のドアを抜けると住居スペースが広がっていた。

 廊下を挟んで左右に5つずつドアが連なり、突き当たりにもドアがある。

 部屋のドアを開け放つと空気が流れ、しばらくするとカビ臭さが消えていく。

 この島の気候に合わせて室内はかなり風の通りやすいように造られているようだった。


 埃よけの白いシーツを外すとそれらは意外と綺麗で、各部屋2人分ずつの簡素なベットと椅子、小さな棚もある。 

 ベットといっても、ビニール製の薄いマットのようなものが木枠の箱にのっただけのような造りだが、座ると意外にクッション性があり、ヒョヌが横になっても充分の大きさだった。

 ビニール製という事は、そんなに古くはないのかも知れない。

 日差しが強い島なので、くり抜かれたような窓からの光で、日中なら明りには困らないだろう。


 部屋は全部で11部屋あり、一番奥の部屋は他の部屋と違い1人用だった。

 また他の部屋より広く、大きな本棚や書物も残っている。

 しっかりしたデスクと、応接セットもおいてある。

――そしてまた、山のように積まれた木箱。



 埃よけのシーツを全て外し窓を開けた。

 床の埃以外は比較的綺麗で、ベットも他より一回り大きい。

「偉い人の部屋かな?」

「――っぽいね」

「ここにいた人たち、どこ行ったんだろう?」

「…………」

 優奈は、デスクの上の手帳を開いた。

「これ!」

「何?」

「日記、かな?……英語?」

















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Comment

こんばんは
YUKAさん、こんばんは。
かなりじらされましたが、ひと段落ついたところで、
新しい展開を持ってくるというのはさすがですね。
感心してしまいました。
なんだか上から目線みたいで申し訳ないです。
続き楽しみにしております。

不定期更新になさるとの事ですが、ご自分のペースで
無理せず執筆頑張って下さいね。
私はまだ26話なのでしばらく楽しませて
いただけますがww
ご自愛ください。
  • 2011/11/13 23:12
  • gimonia
  • URL
gimonia さん
gimoniaさん、こんばんは^^
コメントありがとうございます^^
おお!もうここまで読んでくださいましたか^^
かなり焦れましたか?^^そうですよね~~
いえいえ、上からなんてことは無いですよ。
お時間のある時に読んで頂けたら嬉しいです^^
不定期更新――そうですね。
毎日更新でちょっと無理をしていたので^^;;;
優しい言葉をありがとうございます*^^*
  • 2011/11/13 23:18
  • YUKA
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