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誓約の地/漂流編44<決意(3)>



優奈の恋愛に異常に執着する、彼女の親友杏子。
ヒョヌは自分の想いを打ち明けていく――


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 ヒョヌは杏子から視線を外し、夜空を見上げて、それからゆっくりと自分の気持ちを語り始める。

「……優奈が、ホントは僕をどう思っているのか、わかってなかった。夢中になり過ぎて、優奈の気持ちがわからなかったんだ」

「…………」

「怖かった」

「何が?」

「軽蔑されるのが、かな」

「あの子があなたを軽蔑すると思う?」

「……僕には、遭難前に付き合っている人がいた」

「知ってるわ」

「優奈から?」

「いいえ」

「そう。そのことは報道されたりしていたから、優奈も知ってた。相手も有名な女優だから、結構取り上げられることも多かったし」

「忘れられない?」

「いや」

「…………」

「薄情に聞こえるかもしれないけど、今はもう優奈のことばかり考えてる。でも悩んでた」

「修平のせい?」

「……知ってたの?」

そう言うと、ソンホが経過を説明した。

「ソンホさんを責めないでね? 私が無理に聞きだして、ヒョヌさんには言わないように、口止めしたんだから」

「口止め?」

「あんなバッチバチの状態でそんなこと耳に入ったら、この前以上に対決するかもしれないでしょう? この島で大怪我されても治せないのよ」

「なるほど」

「そのせいなの?」

「いや。確かに彼に言われて思ったより悩んだけど、それはずっと僕の中で葛藤していたことでもあったから。遭難しているっていうこの状況で、優奈と出会って、以前の関係を清算できずにいる……そんな男はどうなのかなって」

「浮気してるみたい?」

「そう、かもね。それで好きだとか、愛しているとか、信じて貰えるだろうかって思ってた。その事で僕の想いが軽いって、そう思われるんじゃないかって、怖かったんだ」

「…………」

「この間……優奈にオッパって呼んでほしいって言ったんだ」

「…………」

「韓国では、血縁以外でも、年下の女性が年上の男性をそう呼ぶんだ、親しい間で。彼女を好きになっても、気持を押し付けるようなことはしたくなかったけど、やっぱり焦っていたんだと思う」

「嫉妬してた?」

「そう、修平にね」

「だから『オッパ』?」

「優奈との距離感を感じていたんだ。彼女の気持ちが掴めなくて、苛立っていたんだと思う。
 情けないぐらいにね。
 彼女の目を見ると僕への好意を感じるのに、それは僕だけじゃないのかもと思わせる。
 彼女は、いつもみんなに平等に優しいから。
 好意は待たれてる――それはわかるんだけど、それがどの程度のものなのか……。
 優奈は僕を愛してるかも知れない、違うかのかも知れない。毎日そればかり気になった。

 ちょっと距離を埋められる気がして、そう呼んでほしいって言ったんだ。
 優奈は意味を知っているからね。今思うと、子供染みたことをしたと思う。
 ただ、そう呼ばれたら嬉しいだろうなって考えて。
 でもまさか、それが優奈を追い詰めるとは思わなかった。
 優奈は、僕がどういうつもりでそんなことを言い出したのか、それがわからなかったらしい」

「…………」

「それで、初めて優奈のホントの気持ちを知った。だから僕もホントの気持ちを伝えた」

「…………」

「それで……キスをした」

 目の前に燃える炎を見つめながら、低く甘い声で厳かに宣言する。

「優奈を抱きしめて、キスをして、誓った。この先どんなことがあっても、これからどんなことが待っているとしても、必ず守る――そう誓ったんだ」

 そう言ってヒョヌはそっと微笑んだ。

「ここでの生活がいつまで続くのかわからない。戻った時、優奈を困らせることが起きるかもしれない。
 でも、ここで生活していても現実に戻っても、優奈を愛して守っていく誓いは変わらない。
 どんなときでも彼女を支えて守りたいと思ってる。その役目はずっと自分であり続けたい、そう思ってる」

「…………」

「杏子ちゃんにも約束する」

「何を?」

「いつか、この島から救助されて戻った時に……
 もし万が一、誰かが僕らを引き離そうとしても、僕は彼女の手を放したりしない」

「なぜ、私に?」

「自分の事のように大切にしてるんでしょう? 優奈を」

「…………」

「それがわかるから、かな」

「…………」

「僕の勝手な自己満足だから、忘れてくれていいよ」


 そう言ってヒョヌは杏子を見た。

 彼の顔は穏やかで、何の気負いもなく静かに微笑んでいた。

 心の内をさらけ出し、優奈を受け止めた自分を理解してほしい――――その想いが伝わってくる。



 杏子は、ちょっと躊躇いがちにヒョヌに声を掛けた。

「もしも……」




















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Comment

読ませていただきました
今後修平さんを含めた恋の行方どうなるか楽しみです
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  • 2011/10/13 21:15
ダメ子さん、こんばんは^^


読んでくださったんですね!
ありがとうございます^^

修平くん、ちょっと切ないですけど、頑張ってほしいです(笑)
私もまた、遊びに行かせて頂きますね^^
  • 2011/10/13 21:19
  • YUKA
  • URL
「ううう、つ、続きが読みたい…」という後ろ髪引かれる(思いっきり、ひっぱられてます ^^;)思いと戦いつつも、とりあえず今はここまでで。

またのちほど、まいります ^^
西幻響子さん、こんばんは^^
西幻響子さん、こんばんは^^
ありがとうございます^^
はい、またお待ちしています♪
  • 2011/10/28 19:10
  • YUKA
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