QLOOKアクセス解析

誓約の地/漂流編・7<哀悼(2)>



<哀悼>は、episode.0<黙祷>の(1)~(7)に掲載させて頂いた内容です。


改稿にあたり、本編に組み込みました。
 





===============================================



 それぞれが捜索する中、その日の捜索ではまだ生きている人は見つかっていなかった。

 捜索中、修平達が発見した遺体は3人、ヒョヌ達が1人。

 とりあえず、必要なものを脱出ボートで下に降ろし、何人かが浜辺で待つ女性陣のところまで運ぶ。

 考えなかった事ではない。

 しかし、あらためて現実を突き付けられた気がして、カズヤから事情を聞いた女性陣は青ざめていた。



「優奈?」

 乗船してきた優奈を見て、ヒョヌと修平が同時に声をあげる。

「事情をカズヤくんから聞いて、相談に来たの」

「…………」

「必要物資以外に脱出ボートを1艘、御遺体用に出来ないかな?」

 優奈の相談事に、ケイタが驚いた顔で問いかけた。

「まさか、運ぶ気?」

「そのままには、出来ないから」

「亡くなった人より、生きている俺らが今は重要じゃない?」

「わかってる。だから来たの」


「…………?」

「私だったかもしれないでしょう?」

「……………」

「その亡くなった人は……もしかしたら私だったかも」

「それは――」

「ごめんなさい。感傷だってことはわかってるの。でも――そのままには出来ないと思って。大変な作業だろうから、みんなは必要な物資集めに向かってほしい。私が御遺体を運ぶから」

 優奈の哀しそうな顔を見て、修平は思わず声を掛ける。

「バカな事言うな。女1人が運べるわけねぇだろ? 男の遺体もあったんだぞ? 重くて持てるわけがない」

 そう言う修平に優奈が話そうとした時、ソンホから通訳されてヒョヌが声を掛けた。

「僕が手伝うよ。僕は優奈のパートナーだ」

「ヒョヌさん?」

「組分けしただろう? 今回は男性陣でっていうことだったからソンホさんと一緒だったけど、優奈が来るなら僕が行くべきだ。ジャンさんにはソンホさんがいる。優奈がいるなら語学に問題ないしね」

 俯く優奈に替わってソンホが通訳し続け、修平は頭を掻いてため息をついた。

「じゃあ、相方は俺が行くよ。優奈じゃ遺体の場所がわからないだろう? ヒョヌさんと俺は遺体の場所がわかる。運ぶのは俺らでできるし」

 そう言って優奈に笑いかける。

「でも――修平くんは捜索に」

「なんで? ヒョヌさんでも1人じゃ厳しいだろ?」

「捜索する時、救助者が日本人とは限らないから。公用語としては英語が一番通じる可能性があるもの。だから英語が堪能な人は、出来れば捜索に」

「いや、でもさ――」

 思案する修平にコウジが声を掛けた。

「僕が行くよ」

 その場にいた全員がコウジを振り返る。

「組分けを考えると、僕かカズヤくんだと思う。カズヤくんは辛そうだったから遺体の運搬はキツイでしょ? 僕なら修平さんと一緒だったから場所もわかるし、ヒョヌさんとじゃ身長差があるけど、優奈さんよりはいいよ」

 そう言って笑うコウジに、優奈は声を掛ける。

「……いいの?」

「大丈夫」

 話を聞いていた佐伯が口を開いた。

「そうだな。私は救助者のためにここに残ろう。捜索中はここで荷物の整理と積み下ろしをすることにして、――カズヤくんはここで手伝ってくれるか?」

「あ、はい」

 優奈は素早く思案すると、新たな組分けを伝えた。

「語学で分けるならソンホさんとジャンさん、ケイタさんとツヨシさん、修平くんとマークさんでどうかな?」

「妥当なとこだろう。修平くんもそれでいいね?」

「……わかりました。カズヤをお願いします」

「我がまま言って、ごめんなさい」

 申し訳なさそうな顔をして謝る優奈に、修平とヒョヌが声を掛けた。

「なぜ? 気にしなくていい。そのまま放置できないのは当然だ」

「俺らのリーダーは優奈だろ? リーダーの判断に従うさ」

「ありがとう」

「力仕事は僕とコウジくんでできる。でも――見るのはかなり覚悟がいるよ?」

「はい。覚悟は、してます」


 そう決まると全員が動き出した。

 優奈とヒョヌとコウジは遺体を包む毛布とロープを確保する。

 遺体を包む前に身元の貴重品を探し、保管してから毛布にくるんで遺体を縛った。

 1体ずつデッキまで運ぶ。

「島に運んだら埋葬する?」

 青白い顔をしている優奈に、ヒョヌは声を掛けた。

「火葬しようと思って」

「火葬?」

「はい。さっき浜辺で、そのための薪集めを頼んできたんです。1人ずつ遺骨にして……いつか救助されたら、遺族に返したい」

「そうか」

「無理、でしょうか?」

「いや、手伝うよ」

「…………」

「僕も」

「コウジくん」

「反対する奴なんていない。優奈さんの気持ちはみんなわかってるよ。僕も最後まで手伝う。だから――頑張ろう!」

「うん、ありがとう」

 青ざめていた優奈はそう言うと、瞳を潤ませて微笑んでいる。

 息をつめて頬を染めるコウジに苦笑しながら、ヒョヌは2人を促した。

「さぁ、そろそろ行こうか?」

「はい」
















関連記事

Comment

こんばんは!

(´;ω;`)・・・優奈さん、なんて良い子なんだ!優しい心が語りかけて来て、涙がでそう。
ヒョヌさんの「僕がパートナーだ」宣言にちょっとビックリ!別の意味で・・・
組み分けを関係なしに、恋愛のパートナーかと捉えてしまいました!甘甘ですね!
状況は結構きついものがありますが・・・

この、原点の小説の行方も楽しみにしています!
応援してます(*´∀`*)
なによしさん
なによしさん、こんばんは^^
コメントありがとうございます^^
エヘへ。
その意図をちょっと感じてくださいましたか^^
たぶん、修平はイラッと来ましたね(笑)
しかも一緒に行くって言って、優奈にダメって言われちゃったし^^
あちらも、今後ちょうど同じところが出てきますね~
あっちは、ほぼ毎日更新です^^(もう出来ているので^^)
あちらにしかない記載も出てくるので
楽しんで頂けたら嬉しいです*^^*
  • 2011/11/19 00:33
  • YUKA
  • URL
黙祷、ここまですごくいいですね~。
遭難後の壮絶なリアリティが伝わってきます。

それに、優奈ちゃんの誠実さも、周りの男性陣の優しさ、頼もしさも伝わってきます。

これですね、やっぱり。
そういうリアリティのあるエピソードを丹念に丁寧に書くことによって、キャラの性格とか人と人との関係性とかが自然に伝わってくる。これがリアリティだと思います。そしてこの緊迫感。この緊迫感、きっと読者をひきつけるファクターになると思います。「次はどうなるんだろう?」という興味につながる、というか。

このシーン、やはりもう少し前にあったほうがよかったのかなー、とかも思うのですが、あとで「小説家になろう」のほうも拝見させていただきますね。
文体のバランスのよさに
いつも感心させられます
会話の自然さと
描写のバランスも
とても勉強になると
思っています
  • 2011/11/19 03:31
  • いちごはニガテ
  • URL
コウジくん、根はいい人みたいですね。

これから待つであろう半年後の修羅場を思うと、それが逆に恐ろしかったりもしますが(^^;)
西幻響子 さん
西幻響子さん、おはようございます^^
コメントありがとうございます♪
つ、伝わりましたか~~~!!!嬉しい*^^*

そうですね。ここをどこに入れようか迷った場所が3カ所あります^^;
登場人物の人間味。。。
西幻さんにはお話しましたが、
「優芽の樹」初投稿時は、ちょっとネタが重いのと、
恋愛小説の冒頭にしてはどうかな~~と外したところですね。
あ!やっぱり最初にあるべきだと思われましたか(苦笑)
にゅぅ~~~~~
完全に私の構成の問題ですね。。。そっかぁ.....(;__)/| ずぅぅぅぅん
以前から、小説書きの先輩方にも「舞台設定の意味」を言われていました。
その時点で「あ、先に出すべきだったか」と思っておりましたが^^;

この<黙祷>はここまで読んで頂いた方用に、内容が少々絡んでますが
「小説家になろう」の方は、<黙祷>を組み込む形にしています。
数話はサブタイトルも<哀悼>に変わっていますので^^
反省と勉強を生かすべく、あちらの冒頭(14話ごろまで)の構成はかなり弄りました。
暫くあちらは毎日更新(予約ですが^^;)しますので
週末には<黙祷>の数話分を追い抜くと思います。
<黙祷>はあちらでまた後半の方に出てきますが、もし読んで頂けるなら嬉しいです^^
いつも本当にありがとうございます♪
感想――姿勢を正してお待ちしています(`・ω・´)キリッ
  • 2011/11/19 09:52
  • YUKA
  • URL
いちごはニガテさん
いちごはニガテさん、おはようございます^^
コメントありがとうございます♪

> 文体のバランスのよさ
あるがとうございます!凄く嬉しいです^^

会話の自然さと描写のバランス~~~~

私はいちごはニガテさんが書かれる詩の言葉の選び方がとても好きなので
こんな風に褒めて頂いて光栄です*^^*
私の方こそ、勉強させて頂いてます^^

  • 2011/11/19 09:57
  • YUKA
  • URL
ポール・ブリッツ さん
ポール・ブリッツ さん、おはようございます^^
コメントありがとうございます♪
そうなんです。コウジも決して悪い人間ではないのです。

・・・・・Σ( ̄д ̄;

それを伝えるためにも、やはり<黙祷>は冒頭で描くべきでしたか^^;
.....(;__)/| ずぅぅぅぅん
以前から、ポール・ブリッツ さんから頂いていたコメントの数々で
ずっと心に引っかかってはいました。
その反省を踏まえ、「小説家になろう」の方では、冒頭に組み込んでおります。
これから掲載予定ですが、お時間がある時に読んで頂ければ嬉しいです。
  • 2011/11/19 10:02
  • YUKA
  • URL
ここを見たら修平君のイメージが
変わりましたねぇ~・・・
ホントはいい人修平君

優奈ちゃんの優しさにジーンときました
もしかしたら自分だったかも・・・って
考えられるところが器の違いだなーなんて・・・
  • 2011/11/19 12:30
  • 小心者
  • URL
小心者さん
小心者さん、こんにちは^^
コメントありがとうございます^^
修平のイメージ、変わりましたか?^^
・・・・・Σ( ̄д ̄;
ってことは、やはり挿入部分のミスということで^^;
完全に私の構成力の問題で(汗)
しくじった。なんかしくじった。。もう色々しくじった

優奈の件もありがとうございます^^
一生懸命なんですよ、この子。――恋愛に関しては鈍いけど^^;;;
  • 2011/11/19 14:45
  • YUKA
  • URL
こんばんは

遭難現場において、救出する際は生存している
人が優先ですね。生存でも、女性・子供が優先
なんでしょうけど。

チームワークの良さに感動しますね。
  • 2011/11/19 17:12
  • みやっち
  • URL
Re: みやっちさん
みやっちさん、こんばんは^^
コメントあがとうございます^^
そうですね。生存者優先ですね^^
だからこそ、優奈は自分で~~って考えたんですが
修平の言う通り、一人でやるなんて無茶にもほどがありますね^^;
救助者の中でも、女子供優先です(笑)ま、単純に体力の問題ですね。。。
チームワーク!ありがとうございます^^これからも少し続くので
お時間があったら読んでくださると嬉しいです^^

  • 2011/11/19 20:18
  • YUKA
  • URL
皆様♪
すみません^^;;;
西幻さんへの返コメで「小説家になろう」を
14話までいじっていると書きましたが
ケイタイ用に文章を小分けしたら『18話』まで違ってしまいました^^;
<黙祷>全7話といったのに、増える予感もひしひしと感じていますが(汗)
むこうはまだ掲載したてなので、通しで読んで頂けると嬉しいです。。。
  • 2011/11/19 20:23
  • YUKA
  • URL
YUKAさんこんばんは♪

ヒョヌさんの僕は優奈のパートナーだ!
この言葉は胸に残るものがありますね。。。

優奈の優しさは天使の様です(/ω\*)ウゥ…感動
  • 2011/11/19 23:18
  • 奏響
  • URL
奏響 さん
奏響 さん、おはようございます^^
コメントありがとうございます^^嬉しいです*^^*
ヒョヌのパートナー発言!反応してくださって嬉しいです。
これ、確実に意図して言ってます、彼も私も(笑)
そしえ、修平はイラッとしてます――陰で(笑)
優奈の優しさ、真面目さ、一生懸命さを感じてくださって嬉し~~~い^^
優奈天使発言!!
実は小ネタで「天使だよね」「女神だよね」ネタがちょっとあるので
そこをコメントいただいて、私の方が感動~~
もし、どこかで見つけたら ̄ー ̄)ニヤリ ってしてくださいね(笑)
――ちょっと先ですけど^^
  • 2011/11/20 08:11
  • YUKA
  • URL

お久しぶりです!ちーずふぉんでゅです(^^)

優奈ちゃんいい子過ぎる(´;ω;)
優奈ちゃんがもてるわけが今更わかったような気がします

一言一言が緊迫感があって
リアリティーを強く感じました!さすがYUKAさんですね*

  • 2011/11/20 13:02
  • ちーずふぉんでゅ*
  • URL
ちーずふぉんでゅ*
ちーずふぉんでゅ* さん、こんにちは^^
コメントありがとうございます^^
優奈……いい子ですよね(笑)真面目なんですね~~
あまりにもまじめで、杏子姐さんは心配してます(笑)
リアリティー!!!
ありがとうございます^^褒められてPC前で悶えました(笑)
また、時間があったら遊びに来てくださいね^^
  • 2011/11/20 14:51
  • YUKA
  • URL
ここには土着民はいないのですね。
いた形跡もないのか・・・。
まあ、これはミステリーやサスペンスではないですからね。
無人島では箇所箇所で第一次世界大戦の塹壕などが残っていたりしますからね。
リンクありがとうございます。
またこちらもつながせて頂きますね。
  • 2013/03/17 08:28
  • LandM
  • URL
LandM さん
LandM さん、こんばんは^^
コメントありがとうございます!!

お返事が遅くなってしまい、大変申し訳ありません。

土着民……いませんね(笑)
始めは少し考えたのですが、ここに人がいないことに理由もあるのです^^
まだ、明かしてませんが(笑)

そうですね。
少し謎チックな感じも出てきますが、一応恋愛ベースですね^^
ただしパラレルな世界ではありますが^^
これを書き始めた時は銘打っていたのですが、「恋愛パラレル小説」なんです。

この島は戦地にもなったことがありません^^
人がいた形跡はあるのですが、人はもう存在していません。
その辺をもっと掘り下げるか?と悩んだこともあったのですが
そうすると、本来の趣旨からだいぶそれてしまうので……やめました^^;

リンク、勝手に申し訳ありませんでした!
相互ありがとうございます^^
コメント書きはなかなか出来ないのですが、読ませて頂いています^^
また楽しみにして遊びに行きますね!^^

  • 2013/03/22 17:27
  • YUKA
  • URL
  • Edit
Comment Form
公開設定


上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。