QLOOKアクセス解析

誓約の地/漂流編・6<哀悼(1)>

<哀悼>は、episode.0<黙祷>の(1)~(7)に掲載させて頂いた内容です。

改稿にあたり、本編に組み込みました。
 


==============================================



 まだ、遭難して間もなくの頃――

 沖合に引っかかるようにして難破している客船から、必要なものを運び出そうということになった。

 まず第一は救助の連絡方法。

 浜辺に打ち上げられていた荷物の中で、見つけた携帯電話やパソコンは、すべて使用不可能だった。

 船の中には、ここよりもっと荷物があり、その中には救助の連絡が出来るものがあるかもしれない――

 初めは全員がそう期待していたのだ。


 船医であった佐伯が、船内の大まかな地図を描いた。

 操舵室、船長室、医務室、調理場を捜索していくことに決める。

 当然、船内に取り残されているかもしれない救助者を、最優先するということも話し合った。


 島を囲む海はエメラルドグリーンに輝き、緩やかにその深さを増している。

 その奥の海は一転、深い藍色に染まっていた。


 色の違う海の境には大きな岩が連なるようにして顔を出し、その岩に留まるようにして船がある。

 奥の海の色の違いからも、その先の藍色の海は深い海溝があるのではないかと思われた。

 船体は傾き、岩に乗り上げるようにしているのだから、危険がないわけではない。

 傾きの状態を見ても、もしかすると船内に入水している可能性もある。

 安全を考慮するならば、いつ沈没するかもわからない船に近づくのは危険だった。

 何かの拍子に船が沈み始めれば、その沈没の渦に巻き込まれはしないかと危惧する声も上がった。


 しかしある意味、船には素人の集団である。

 船医である佐伯にしても、この状況が意味する船の状況が完全にわかるわけではない。

 それならば、このままでいるわけにはいかないとの意見が大半となった。

 だからと言って、本来大型の船に乗り込むのは容易ではない。

 停泊中なら船橋が置かれ乗り降りも出来る。

 しかし航海中であった船のそれは、当然のように出入り口さえ閉じられている。

 泳ぎの得意な修平、コウジ、カズヤの3人が、まず外からの乗船が可能かを判断しに船の傍の岩まで近づいた。

 通常ならブリッジまでの高さ十数メートルはあるはずだ。

 幸い、船体が傾いているおかげで比較的容易に近づけることがわかった。

 それでも1回目の乗船は男性陣で行うことにして組分けを決めた。





―――――――――――――――――――――――――――――


ブリッジにある船長室と操舵室及び医務室は佐伯・マーク

調理室にジャン・ソンホ・ヒョヌ

救助者捜索にケイタ・コウジ・カズヤ・ツヨシ・修平


―――――――――――――――――――――――――――――




 何かあった時のことを考えて単独行動を禁止した。

 それぞれ捜索範囲を決め、深入りしない程度にブリッジへ帰ってくることとした。

 傾いた船内は想像以上に歩きにくく、かなりゆっくりな捜索だったが、あらかじめ決めていた必要と思われるものだけを探した。





 ブリッジの操舵室と船長室を捜索し終えた佐伯とツヨシが一旦デッキに降りる。

 するとカズヤがうずくまる様にしてゲエゲエと吐いて、その傍に青い顔をしたツヨシが寄り添っていた。


「どうした?」

 異変に気付いた佐伯とマークが駆け寄ると、ツヨシが神妙な顔で話し始める。

「……遺体が」

 佐伯はハッとしてマークに素早く通訳すると、そうかと言ってカズヤの背中をさすってやった。

「そのままにはできないな」

 そういう佐伯に、ツヨシが更に青くなる。

「……あんな遺体をどうやって?」

「何人だった?」

「僕らが見たのは1人。遺体は……腐乱し初めていて、凄い異臭でした」

「他のメンバーは?」

「生存者や救護の必要な人を捜してます。修平がとりあえず、佐伯先生にはここにいて貰ってくれと」

「わかった。カズヤくん、大丈夫か?」

 そう言って、佐伯はコウジからカズヤに視線を移す。

 カズヤが涙目になった目をスッと開いて見上げていた。

「……すみません、情けなくて」

「気にすることはない。医者の私だって、そうそう見ることのない遺体だったんだ。当然だよ」

「俺が……気分が悪くなったから、ツヨシさんが付き合ってくれたんです」

「うん。1人で行動はしないのがルールだったはずだからね」

「はい。修平さんもそう言ってくれて」

「修平くんは?」

「医務室に向かってます」

「佐伯先生がいたら戻って貰うし、もし僕らが掴まえたら、ここで待っていて貰えって」

「ついでに残っている医療品を持ってくるそうです。わからないから必要そうなものを片っ端から持っていくって伝えてくれと」

「なるほど、賢いな。では医療品は任せよう」

「救護者が来た時に備えて、平衡に寝かせられるところを作るろうか?」

「そうだな。マーク、船長室からリネン類を持ってきてくれるかな?」

「わかった」

「脱出ボートを降ろせるかも確認しよう」

「はい」
















関連記事

Comment

こんばんは!

おおっ!本当に最初の部分ですねー!
修平さんがカッコイイです・・・!颯爽としていて行動力もあって・・・!勇気のある男性っぽくて好青年ですね・・・!!
海は、泳ぎが25メートルで限界な私には恐ろしいです・・・でも、家族と海に行ってカニはとってました(笑)むしろカニとかハマグリとかしかとってなかったですww泳ぎに自信がなくて・・・
このあと、どういう風に進んでいくか、刮目して読んでいきますね!!

応援しています(*´∀`*)
なによしさん
なによしさん、こんばんは^^
コメントありがとうございます^^
修平――喜びます(笑)本当は優秀だったんです~~(と言い訳してみたり^^;)
この話は恋愛絡みが薄いのですが、必要だと考えていた話なんですね~
本当は、どこで入れ込もうか考えながらだったので。。。
全7話――読んでくださると嬉しい。
これから、一応掲載予定日を入れるよう心がけますので^^
あとは日常記事~~~バカ話も載せられたらと思います^^
楽しんで更新していきますので、これからもお時間のある時に寄ってください^^
  • 2011/11/15 03:18
  • YUKA
  • URL
こんにちは
初コメします!いつも楽しく読ませてもらってます。どんなエピソードがあったのか今後の話も
楽しみですね~。更新は本当に毎日大変だったと思います。ゆっくり更新でもお待ちしてますね~
私のブログにもありがとうございました!
すごく嬉しいです(*^_^*)
またコメ入れさせてもらいます!!
よこちさん
よこちさん、こんにちは^^
コメントありがとうございます^^
わぁ~~~初コメですね!!嬉し~~~い!*^^*
ずっと毎日読んでくださっているのを知ってました^^
応援もしてくださっていて、どなただろう~~~って思ってたんです。
いつもお見かけする度に、今日も来てくださった!
喜んでくださったかな?って思ってました^^
私はなかなか辿り着けずにいて、もう毎日PC前で頭を下げてましたから。
足を向けて寝られませんm(_)m
よこちさんに辿り着いた時は感無量でしたよ~~(笑)
申請受理もありがとうございました^^

当初の予定より先になりましたが、これからも更新を続けますし
完結させますので、これからも遊びに来てくださいませ^^
お時間があったら、また気ままにコメントいただけると嬉しいです*^^*
  • 2011/11/15 11:11
  • YUKA
  • URL
遭難して半年ほど、と書いてありながら、遭難して間もなく、と書いてあり、ちょっと狐につままれた気分(^^;)

たぶん半年後に思わぬ形でリンクしてくるのだろうとは思いますが、半年も漂流というか遭難しているんですかこの人たち……。

みんな精神的にえらいタフですなあ。わたしなんざインターネットがなくなったら三か月で精神的に参ってしまいます(^^;)

それから船乗りと時計はなんらかの処理をしておいたほうがいいですね。やつらは「天測」という技能を持っていることが多く、正確な時計と夜空の星々があれば、地球上での位置をかなりの精度で推測できるのでありますから……。
ポール・ブリッツ さん
ポール・ブリッツ さん、こんばんは^^
コメントありがとうございます^^
あ。
×遭難してから半年程の期間のお話
○遭難して~半年程の期間のお話

【遭難当初から半年までの期間のお話】に修正しました^^;;
すみません。(llllll゚Д゚)ヒィィィィ
そうです、いつの間にか半年。
ちょいちょい何日後――と入れているんですが、私が忘れそうです^^;
タフ……ですね。

そうなんですよね。
時計と天体観測――これが問題(笑)もう話に係わってくる問題^^;
PCもケイタイも全滅……
時間経過を正確に書かず、太陽や月の位置や状態で、
午前・午後・夕方・夜を表してきた意味……。
――って書くと、ポール・ブリッツさんにはネタばれかな(汗)
お叱りは、いつかネタばれした時にたっぷりと――覚悟します (〃_ _)σ∥
  • 2011/11/15 22:00
  • YUKA
  • URL
こんにちは♪

遭難したて(←)の頃のお話ですねぇ。
男性陣がかっこよくみえます~。
男前ばかり!!
とくに修平くんが素敵。

更新無理なさらずに頑張ってくださいね(*´∇`*)
滝元 真那 さん
滝元 真那さん、こんばんは^^
コメントありがとうございます^^
お!カッコ良く見えますか?良かった^^
そうですね~~ここは修平がカッコよく見えます^^
ヒョヌは、真だこの頃通訳なしでは会話が成立しないので
どうしても修平が中心だったんです^^
少々恋愛要素が少ないのですが、
ヒョヌと修平の優しさとカッコよさが出たらいいなぁと思います^^
はい、楽しんで続けますね*^^*
  • 2011/11/16 20:26
  • YUKA
  • URL
救助のシンプルな方法はSOSを海辺に書くことぐらいですけどね。
そのうち薄くなるので、毎日、それを深く掘り続ける。
シンプルで効果がある方法です。
特にヘリコプターや衛星が飛び交っている昨今では。

船が動けば無線で知らせることなどできるんですけどね。
今回のは長くなりそうですね。
・・・ならないと話にならないか。
  • 2013/03/09 20:24
  • LandM
  • URL
LandM さん
LandM さん、こんばんは^^
コメントありがとうございます!
お返事が大変遅くなりました。

そうですね^^SOSは世界共通でしょうか。
浜辺に書くのはいい方法ですよね!^^
現代で遭難しているとはいえ、これだけ発見されないのは何故か――
その辺の種明かしが今からドッキドキです^^;

長くなりますよ~~~~かなり(笑)
無線は一切だめになっているので、これはどうしようもないですけどね。
そうそう!
長くならないとお話にならないのです^^

いつも丁寧に読んでくださって本当にありがとうございます!
そして、ここでのご報告で大変申し訳ないのですが
LandM さんのブログをリンクさせて頂きました。
これからストーカーのように訪問させて頂きたいと思っています^^
よろしくお願いします。

  • 2013/03/12 18:07
  • YUKA
  • URL
  • Edit
Comment Form
公開設定


上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。