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誓約の地/漂流編・96<微熱(9)>


誓約の地/漂流編・96<微熱(9)>



※今回の内容には少々性的煽動に感じる描写があります。

お話の流れとして必要だと判断して掲載しますが、閲覧は自己責任でお願いします。








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 一人逃げるように分け入った森の奥で、コウジは自嘲気味に笑った。

 あの日以来、いつも2人を注意深く見てきた。

 ヒョヌは皆に気付かれないように、いつもそっと優奈を誘いだす。

 杏子が感じた優奈への思いやりだったが、コウジにはそう映らなかった。

 自分の欲望のはけ口に優奈を黙って連れ出している――そう感じていた。


 楽しい散歩を無邪気に喜ぶような優奈の様子をみると、ヒョヌへの嫌悪が更に強くなっていく。


 


 ボ ク モ カ ノ ジョ ヲ    ア イ シ テ イ ル ノ ニ




 2人の後をつける時、気にするのは杏子さんの視線――。

 いつかのあの親友が彼女と被る。

 厄介で邪魔な存在。



 杏子に見つかれば、なんだかんだと引き留められる。

 それで何度となく機を逸して、2人を見失ったこともあった。

 しかし、この島で2人になれる場所はそう多くはない。

 彼らがそっと抜け出すたびに、コウジは時間をおいてこっそり後を追った。


 密やかな声が聞こえる方へ足を忍ばせていくと、案の定2人の気配がした。

 木陰にある岩と岩が段差になり、座れるが高さが少しある岩にふわっとシーツをかけ、ヒョヌは優奈を座らせている。

 ちょうど7、80cmほどの位置に座席部分がくるような岩の上でワンピースの肩ひもを外され、裾をたくし上げられたまま座らされた優奈は、恥ずかしさで肌をピンク色に染めて少し震えていた。

 耳元で何かを囁かれた優奈が驚いて小さく首を振ると、ヒョヌが両膝を両腕に抱えて折るように持ちあげる。

 両膝の位置が優奈の身体と直線になるほどの開脚だった。

 身体が小刻みに震えだし、くぐもった喘ぎ声をあげて快楽に乱れ、淫らな行為に耽る優奈は艶めかしく、コウジの劣情を刺激する。



 ナ ゼ  ボ ク デ ハ ダ メ ナ ノ カ



 無意識に何度も唾を飲み込んだ。

 2人を見るコウジの位置は遠く、横からでよくは見えない。

 それでもこれ以上近づけば気付かれてしまう――

 なぜかじりじりと苛立つ想いを抱えながら、息をひそめて様子を伺った。

 ヒョヌに激しく責め立てられて身体が硬直するような絶頂を迎えても許されることはなく、ヒョヌが限界を迎えて果てるまで優奈はヒョヌにしがみ付くようにして喘いでいく。


 頭がくらくらするほどの激情が、コウジの中で膨れ上がる――

 一部始終を見届けたコウジの下半身は、いつも自らの刺激を待たずに果てる。

 ズボンを醜く濡らして、2人が立ち去った後もその岩場から目をそらせずに、嫉妬と絶望感で震えていた。






 ある時は段差のある岩に腰掛けるように、ある時は薄暗がりの浜辺で、ある時は川のほとりの岩陰で。

 2人は、あらゆるところで愛し合っていた。

 優奈はヒョヌに逆らわない。

 羞恥心に震えても、困ったようにすねてみても、結局彼の言葉に従った。

 たくし上げられたワンピースをあえて脱がすことなく愛し合い、彼女の中で果てるまで延々と続く。

 そういう時の優奈はいつも、困ったような恥ずかしそうな顔でヒョヌを見ていた。

 そして最後は突きあげられ、嬉しそうに喘ぎながら気を失うまで責められる。


 そんな光景を目の当たりにするたびに、暗い影がコウジの心を覆い尽くしていく。

 自分でも何をしたいのかわからない。

 見たくない光景をあえて見る必要があるのか? 

 そんな疑問が何度も浮かんでは消えていく。


 自分の中で何かがゆっくりと歪み、崩れていくことに恐怖を感じながら、それでもコウジは自分の行動を止められなかった。



 身体が熱い――





『――優奈とヒョヌさんが同室になるから』

 杏子から告げられた一言が、コウジの中でこだまする。

 諦めなければ。

 諦めなければ。

 諦めなければ――



 呪文のように唱える言葉。

 あれから何度自分に言い聞かせただろうか。

 その度に、2人の情事が鮮明に浮かび上がる。


 なぜそんなにこだわるのか――コウジもわかっていた。

 優奈を自分の思いのままに操り、欲望を満たすヒョヌ。

 その行為はどれも、自分がしたいと思っている行為だった からだ。


 まるで熱に浮かされるように頭がクラクラした。

 そして同時に、心が酷く冷えていく感覚に囚われる。

 これからいつでも好きな時に――そう考えたとたん吐き気がした。

「どうしたら……」

 吐き捨てるように呟く小さな声は、行き場のない激しい想いと共に自分の中にかえってくる。

 優奈の心も身体も手に入れ、彼女で自分を満たすことができる彼に対して感じている劣等感と絶望感を憎悪で塗り潰す。


 そうしなければ、自分が壊れてしまいそうだった。





 テ ニ ハ イ ラ ナ イ ナ ラ   コ ワ シ テ シ マ オ ウ カ





 ヒョヌに全てを預ける優奈。

 優奈を全て手に入れたヒョヌ。

 彼女に焦がれてやまない恋心という名の感情は、彼の内に広がる仄暗い闇に煽られて、徐々にどす黒い欲望へと変わっていく。


 イヤだと思うのは何なのか、憎いと思うのは誰なのか――




 もうそれさえもどうでもよかった。













     ***











 優奈を医務室に寝かしつけてから、杏子はヒョヌを誘って海辺に来た。

 杏子は既に、日常会話なら韓国語で話せるようになっている。

 もともと完璧主義の杏子は今、語彙とイントネーションの向上強化中らしい。

 優奈といれば日本語で会話を続けているヒョヌも、今日は杏子のために韓国語で話しかけた。

「韓国語、だいぶ上達したね」

「ソンホさんのおかげ。発音おかしくない?」

「大丈夫」

「ほんと? ありがと」

「話って何?」

 問いかけるヒョヌに、杏子は小さく微笑んだ。

「優奈のことで」

















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Comment

こんにちは
YUKAさんこんにちは〜^^

ここのお話は、流れとしてとても重要だと思います。
性的表現というよりも、それに対してコウジが感じる心理描写が主眼に据えてある事がとてもよく分かるので、全然OKだと!

男性視点の、それもどちらかというと生真面目な性格の男の人の屈折した片思いの気持ちとしてこれ以上の描写はないのではないでしょうか?
やはり男の人は、どうしても性的な事に複雑な思いが収斂してしまうんじゃないかと思います。女の人だったら

「どうしてわたしじゃないんだろう」

という気持ちの方がより大きくなるように思うのですが、コウジの場合は

「自分がこうしたいと思っている事柄の顕在化」

への自己嫌悪と嫉妬がもたらす破壊衝動の方がより強いように感じられました。

ってわたしの一方的な読み解きで、実際はそうじゃないかもしれないですが・・・!!

見たくないのに2人の行動を執拗に追ってしまうコウジ、恋の袋小路を彷徨っているようです。
誰か、誰か彼にフォローミー!!な感じで!!

不穏な心境の変化がどのような形で発露するのか、対象は優奈さんなのか同性のヒョヌさんなのか・・・とても不安でもあり、続きが楽しみでもあります。

YUKAさんの文章は本当に読みやすいです。
創作頑張って下さいね^^わたしも一緒に頑張ります!!

ではでは、また~♪
canariaさん
Canariaさん、おはようございます^^
コメントありがとうございます♪
お返事が遅くなりました^^;;

そうなんです!!ここは私の中でも外せないところで、この先のお話にも係わってしまうので
優芽の樹でのR指定は極力避けたいのですが、ここは省けませんでした~~

もう!!!まさにその通りの思考回路で書かせて頂いてます!

>男性視点の、それもどちらかというと生真面目な性格の男の人の屈折した片思いの気持ちとしてこれ以上の描写はないのではないでしょうか?

わぁ~~~本当ですか?!
かなり嬉しくて、テンションがダダ上がりですO(≧▽≦)O
微熱の章自体が、コウジのためにあるような章でして、プロット上の原題は
「逢瀬」と「憎悪」という、かなり直接的なサブタイトルをつけていました(笑)

>「自分がこうしたいと思っている事柄の顕在化」

もう~~~さすが、canariaさん!!><。。。
そうなんです。
結局のところ、何を言ってもそこで
つまりは「俺もしたいことをお前だけしやがって!」です(*´∇`*)

見たくないんですけど、見てしまう――単なる覗きだけでなく、彼の願望でもありますから^^
でも相手が違うわけです。
相手は自分でありたかった……。

では、彼は見なければこのままだったのか?
毎回自問自答する題材ですが、きっと遅かれ早かれでたでしょう。
こういうことは、実は本人の意思・意識ニ関係なく、その素養を持っているからだと。

これはですね~~島とはいえ、外に(島外に)でれない者たちですから
どんなに発散しても、多少のフラストレーションは溜まると思うのです!
真面目だったがために、それを押し殺していたんですが、出来なくなりました~~

神格化するほど優奈に傾倒していた彼ですが、女としての彼女を見ることで
その姿に欲情して、同時に落胆している――
で、怒りと憎悪はヒョヌに向くんです。

実はそれだけ、ヒョヌのことも尊敬していたってことでしょうね。
今の彼の中でヒョヌは「女神を地に突き落とした」最大の憎しみの相手です^^;;



  • 2012/03/17 04:55
  • YUKA
  • URL
  • Edit
はじめまして!
奏響さんのブログより参上致しました「武道亜輝」と申します!
アルファポリス恋愛小説大賞にエントリー!
尊敬もんです!^^!頑張って下さいね!
応援させて頂きます!!
ファイトだぜズババババ~ン!!
  • 2012/03/17 22:18
  • 武道亜輝
  • URL
武道亜輝 さん
武道亜輝 さん、はじめまして^^
コメントありがとうございます♪

わぁ!応援ありがとうございます^^
あ~~実は、もう応援終了しているのです^^
お気持ちだけ受け取らせて頂きますね^^
ありがとうございます♪
  • 2012/03/17 22:37
  • YUKA
  • URL
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