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誓約の地/漂流編・89<微熱(2)>





誓約の地/漂流編・89<微熱(2)>






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優奈は思わずヒョヌをマジマジと見てしまった。


――我慢、できるのかな?


 もう何度もヒョヌに愛された。

 でも毎回、深く愛されるほど夢中になり、彼にしがみ付くようにして愛されてばかりで、実はあまり覚えていない。そんな状態で我慢とかできるだろうか?

 いや、そもそも我慢するとかしないとか、そういう問題なんだろうか? 

 顔を赤くして考え込んでいる優奈を見たヒョヌが、くっと噴き出すように笑って声をかける。

「冗談だよ」

「――じょ、冗談?」

 荷物整理しながら背を向けているヒョヌの肩が小刻みに揺れている。


――なんだか、またからかわれた!


 優奈が頬を膨らませて抗議しようとすると、後ろから肩をぽんと叩かれる。

「片付いた?」

 優奈が振り返ると、そこにいたのは杏子だった。

「あらあら、もう早速模様替え?」

 優奈の肩越しに部屋の中を覗きこんだ杏子は、片付けを続けるヒョヌが声をかける。

「まぁね。何か忘れもの?」

「いいえ、様子を見に来ただけ」

 杏子は笑いながら「随分手際がいいわね」と言って優奈に声をかけ、肩をすくめた。

「あ、これはね、その――」

 杏子の顔を覗きこみながら「まずいよね?」と問いかける優奈に、杏子は笑って言い返す。

「いいんじゃない? 恋人同士が同室なんだから」

「でも――」

「嫌なの?」

「そうじゃなくって――」

「大丈夫よ。カズヤとエリには、反対側にベッドを寄せるように言ってきたから」

 くすりと笑う杏子にヒョヌも笑いかけた。

「あ、そうなんだ。悪いね」

 もう手は打ってあると言わんばかりの杏子に優奈は唖然とする。

 そんな優奈の顔を覗きこんだ杏子は、小さく頷いてもう一度大丈夫と声をかけた。

「大丈夫って――大丈夫だと思う?」

「だって、優奈が声をあげなきゃいいだけでしょ?」

 肩をすくめて笑う杏子の言葉に目を瞬《またた》かせた優奈の後ろで、ぐふっとくぐもった声が聞こえた。

 こらえられなかったヒョヌが思わず噴き出したらしい。
 
「……杏子ぉ」

「やぁね、冗談よ」

 示し合せたかように同じことを言う2人に、優奈はがっくりと項垂れた。

 真剣に考えた自分がバカみたいだと思いながら、恨めしそうな目をして杏子を見た。

「……また、冗談?」
 
 不満げな表情の優奈の顔を、杏子は首を傾げて不思議そうに見つめている。

「あら、またってなぁに?」

 問いかける杏子と目が合い、あわてて何でも無いと応える優奈の後ろで、ヒョヌが声を殺して笑っている気配がする。

 最近、杏子どころかヒョヌにまでからかわれ始めた。

 明らかに楽しんでいる2人に優奈は少し憮然《ぶぜん》とする。

「もう――! オッパは笑い過ぎ」

 止まらない笑いを必死に噛み殺しているヒョヌに視線を向けると、優奈は頬を膨らませて抗議した。



 











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Comment

YUKAさんおはようございます♪

カズヤとエリも模様替えしたかしら…
恋人同士だとお部屋に戻るのが
待ち遠しくなりますよね(笑)

杏子さんの配慮流石です!
  • 2012/02/18 08:57
  • 奏響
  • URL
奏響さん
奏響さん、こんにちは^^
コメントありがとうございます♪

カズヤとエリも模様替え終了ですね(笑)
今まで我慢してましたからね~~(¬w¬*)
これは吉と出るか凶と出るか、杏子姐さんもちょっと不安です^^

ある意味「わからせる」には良いんですけど、荒療治ですよね^^;
――って、私が仕組んでいるんですけど(*^m^*) ムフッ
  • 2012/02/18 15:03
  • YUKA
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