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誓約の地/漂流編・83<特別(6)>



誓約の地/漂流編・83<特別(6)>







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「……ひでぇ言われようだな」

「そうね、ごめんなさい」

 杏子もさすがに言い過ぎたと、素直に謝った。

「部屋割の件?」

「そう。あなたは血の巡りがよくて助かるわ」

「そりゃあ、どうも」

「まだ完全に自覚してないとか? まさか、あり得ないわよね」

「気付いてないってことはねぇだろ? まぁ俺もあいつと話したことはないけど」

 修平はヒョヌと話しあった時に見たコウジの様子を思い出していた。

 酷く苦しそうな顔をしていたコウジを気になったが、あの時は修平にも余裕が無かったのだ。


 その後――

 その事についてあえて話すことはなかったが、コウジの気持ちがわかるような気がしていた。

「まぁ、そっとしとく方がいいんだろうけど。時間が解決するかもしれねぇしな」

「どうかしらね。これから同室になるし。どうしたもんかと思ってね」

「同じ屋根の下で好きな女が他の男と――ってのは、さすがにきついよな」

「それがこの生活の過酷なところよね」

 そう言うと、杏子は視線を海に戻してもう一度思案する。

ヒョヌと優奈が同室になると聞いて、はっきりとこれからの2人の生活を意識したのかもしれない。

 これからはコソコソする必要もなく、いつでもそういう状況になりえるのだ。

 ひとつ屋根の下で好きな女が他の男と――なんてことは普通はありえないはずだった。

 だからといって、いつ終わるかわからない生活の中で、成人した恋人同士にいつまでも我慢しろとは無茶な話だ。
 
 以前に比べて全員がこの島の地理を把握してきているのに、このまま屋外でというのもまずいと思っていたのも事実。

「何かあったのかしら?」

「ん? コウジ?」

「そう」

 杏子には、コウジが気持ちを必死に隠そうとしているように見えた。

 あの目を見なければ、焦がれているだけの片思いだとも言えたが、激情を必死に隠そうとしている今の彼は、なんだか危険――

 あからさまに好意を寄せて想いを伝えた修平よりタチが悪い。

 優奈マジックにかかるのはただの勘違い――優奈の気持ちがわからずに、気があると思い込んでしまうためのはずだった。

 でもそれは優奈に特定の相手がいない時だ。

 幾らなんでも、あれだけあからさまにヒョヌへの恋心を見て勘違いはあり得ない――と思う。

「……優奈のため?」

「ん? まぁ、そうね」

 冷静に考えれば自分では太刀打ちできないとコウジでもわかるはずである。

 国籍は違っても相手は見目麗しいスター俳優なのだ。

 他の男性陣と比べても際立っていい男。

 見た目で引けを取らない修平でさえ惨敗だったのだから、十人並では歯が立たない。

 幾らなんでも相手が悪い。

 ましてヒョヌは杏子が認めるほど勘も性格も――その中身までもいい男だ。

 2人並べてみれば、御似合いですねとため息をつくしかないはずなのに――


「――るの?」

「え? ごめん、何?」

 杏子は修平に視線を向けた。

 つい考えに沈んで、聞き逃した問いかけを修平に確認する。

「……あいつとも寝るのか? 俺ん時みたいに」

 小さなかごに入った果物を取る杏子の手が、ピタリと止まった。














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Comment

YUKAさんおはようございます♪

修平くん杏子さんが欲しいって言っちゃいましたね…
あぅあ。。。杏子さんは修平君の事、割り切った考え
で関係続けてきたけど誰とでもって訳じゃない。
こうじも心配だけど杏子さんを取られたくない
失いたくない気持ちが杏子さんを欲しているのかな…
。・゜・(/Д`)・゜・。大人って…大人って複雑よね^^
  • 2012/02/06 08:53
  • 奏響
  • URL
奏響さん
奏響さん、こんばんは^^
コメントありがとうございます♪

そうなんです!とうとう言っちゃいました~~^^
杏子はねぇ~~素直じゃないんですよ(苦笑)
修平はこういう関係を続けることに疑問を持ち始めちゃったんですね。
それはひとえに、気持ちが動いていることに気付いちゃったから^^;

身体の関係から入ったので、余計複雑に考えちゃってますが
実際はシンプルですよね~~
気持があるってことですから。
大人って……複雑ですよねww
  • 2012/02/06 21:52
  • YUKA
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