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誓約の地/漂流編・81<特別(4)>

誓約の地/漂流編・81<特別(4)>

小説更新強化月間♪
「優芽の樹」では2月2日より偶数日更新いきます!!


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「どうしよう」

「……そうだなぁ」

 両頬を支えるように頬杖をついて呟く優奈の問いかけに、ヒョヌが苦笑する。

 この少し前――カズヤが相談したいと医務室を訪ねてきた。ヒョヌと優奈に話し終えたカズヤは、「よろしくお願いします」とにこやかに部屋を出て行った。


『別々に過ごしているエリとの部屋割を、一緒になるように変えられないっすか?』


 話を終えてカズヤが出て行った後、優奈とヒョヌは苦笑いする。

 最近になって、カズヤがエリと付き合い始めたのは知っていた。付き合い始めた2人が、部屋割を変えて一緒にいたいという気持ちもなんとなくわかる。

 しかしそうすると、他の組み合わせもかなり変えなければならない。まさかリョウコとコウジを一緒にするわけにいかないからだ。

「なんとかしてやりたいとは思うけど。苦労してるのはわかるしね」

 片手で頬杖をつきながら苦笑するヒョヌの呟きに、優奈は首を傾げる。

「……苦労?」

「そう」

「何の?」

「愛し合うための場所の確保」

「…………」

 優奈をちらりと盗み見たヒョヌの言葉には実感がこもっている。

 言葉に詰まって優奈は紅くなった。自分達も同じだからだ。

 部屋が同性との2人部屋のために、夜は互いの部屋を訪ねて行くわけにもいかず、人目につかず愛し合う場所を見つけるのは一苦労だった。――苦労しているのはヒョヌではあったが。

 時々ソンホが笑って気を利かせてくれているが、確実にばれているのもかなり気まずい。




「あら、難しい顔して喧嘩?」

 ふいに声を掛けられた2人が振り返ると、杏子が笑いながら戻ってきた。

「違うけど。――どうしたの?」

「ソンホさんが教材を1つ忘れたって。それを取りに来たの。――で、何ごと?」

 優奈がエリとカズヤから受けた話をすると、杏子は頷いてあっさり回答した。

「そういうことか。じゃあ、私がリョウコと同室になるわよ」

「はい?」と優奈は目を瞬《またた》かせたが、「優奈はヒョヌさんと一緒になればいいじゃない」といって杏子は笑った。

「えぇ? ちょっと待ってよ!」

 慌てる優奈に苦笑しながら、ヒョヌも杏子に問いかける。

「……ソンホさんとコウジはどうする気?」

「彼らならいいって言ってくれると思う。いいと言って貰わなきゃ」

「杏子! そんな勝手に――」

「そお? 気を使って部屋に戻れないよりはいいんじゃない?」

「――――!」

 ますます言葉に詰まる優奈と苦笑するヒョヌを横目に、杏子はくすりと笑う。

「ヒョヌさんだって、場所探し苦労してるんでしょ? いつまでも外での方が明らかにまずいわよ」

「……まぁ、ね」

「はっきり認識させるのは賭けだけど」

「賭け?」

 首を傾げた優奈とヒョヌに、杏子は何でもないと言って笑った。

「言いづらいだろうから、私が聞いてあげるわ」

そう言うと、杏子はさっさと部屋を出て行ってしまう。

「ちょっと、杏子!」


 呼びとめる間もなく杏子が出て行ったドアを、半ば呆然と見つめながら「どうしよう」と呟く優奈とは違い、ヒョヌは小刻みに肩を震わせながら笑っている。

「……杏子ちゃんって、やっぱり優しいな」

「そんなこと言って――」

「いつもなんだかんだと助けて貰ってるしね。それに――確かに気まずかったし、苦労してたし」

 頬杖をついて杏子の出て行ったドアを見つめるヒョヌの言葉に、優奈は苦笑する。もう一度両頬に頬杖をついてヒョヌを見ると、そのままの体勢で視線を流してきたヒョヌと目があった。

「そうなの?」

「まぁね。優奈から誘ってくれることないからなぁ。みんなも島の地理に詳しくなっているから、そのうちどこかで遭遇するかもしれないしね」

「オッパ……私から誘ってほしいの?」

「そりゃあね。毎日でもいいよ。いつでもいい。それならどこへでも行く!」

「……何よそれ」

 苦笑する優奈に小さく微笑んで、ヒョヌは独り言のように呟いた。

「その大変さがわかってるからね」








     ***








 杏子は資料を持ったまま、部屋割の件をすぐソンホに相談した。

 ソンホは笑って了解し、あとはカズヤと同室のコウジだけである。少し待っていてほしいとソンホに話をした後コウジを探していると、いきなり腕を掴まれた。

「修平? 何よ?」

「…………」

「なぁに?」

「……俺らは?」

「何が?」

「カズヤから聞いて――今、ソンホさんに話してただろう? 部屋割のこと」

「ええ。まぁ、カズヤの気持ちもわかるわよね」

「俺らは?」

「何が? 私たちは付き合ってないじゃない。私は私に惚れてない男とは付き合わないわよ?」

「…………」

「それとも、私と付き合いたいの?」

 杏子の一言に修平の頬がピクリと反応する。
 口元にほんの少し笑いを含んだ杏子と目が合うと、修平は少し眉を寄せた。


 修平が口を開きかけたとたん、彼を探していたカズヤに声を掛けられる。

「修平さん! みんな待ってますよ?」

「ああ」

「あれ? なんかお取り込み中?」

「いや……わりぃ」

 修平は杏子の腕を掴んでいた手をぱっと放し、くるりと背を向けて歩きだした。




「どうしたいのよ」

 杏子は修平の後姿を見送りながら苦笑した。










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Comment

そっかそっか〜部屋割りか〜〜(´・ω・`)
確かに恋人が居ると一緒の部屋に居たいよね〜。
安心すると言うか何と言うか。
やっぱり1番落ち着く存在だよね+゜。*゜+

そーですか....
優奈とヒョヌは同じ部屋になるのですな(・∀・)ニヤニヤ
う〜〜ん....続きが楽しみだ〜〜><
確かに私は優芽の樹の読者派で
MLNは最初から読み直す時にと思ってたのだけど...
この続きが更新されてるんだよね.....

にゃ〜〜〜〜〜〜〜//////

ちょっとMLN行って来る!!
ε=ε=ε=┏(゚ロ゚;)┛ダダダッ!!

チョコさん
チョコさん、こんばんは^^
コメントありがとうございます♪

そうですね~~~^^;;
優奈はともかく、ヒョヌは我慢できなくt(殴

えへへ~~~
でもこれが、<楽園>に続く波乱の幕開け~~~~ヘ(~-~m)~
段々、ネタばれになりそうであんまり言えないですけど~~(笑)
あ。MLN行っちゃいましたか?^^
いってらっしゃ~~~い^^
  • 2012/02/02 19:52
  • YUKA
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