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誓約の地/漂流編・50<黙祷(1)>


episode.0<黙祷>の(8)に掲載させて頂いた内容です。

改稿にあたり、本編に組み込みました。




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「そろそろ、考えないとですね」

「そうだなぁ」


 優奈はジャンとミラ、佐伯とで打ち合わせていた。

 遭難生活が3か月を過ぎ、島での調達も出来るようになってきたが、問題は調味料だった。

 特に塩は料理に欠かせない。

 味もそっけもない食べ物では全員のメンタルに響く。この生活での一番の楽しみは食事なのだ。

 幸い果実が多く、サトウがなくても甘味は何とかなる。

 しかし大量の汗をかくこの島で、塩分は水と同じくらい重要だ。


「海水から出来ません?」

 みんなで話し合っている時、優奈はふと思いついて声を掛けた。

「塩田ってこと?」

「そうです。天日塩か岩塩。――岩塩はそもそも見つけないと無理だから」

「天日塩はそうとう時間がかかるぞ? 素人では難しいし」

「そうですね。だからこそ始めるなら早くしないと。浜辺に範囲を決めて塩田を作ってはどうでしょう? 
 幸い雨があまり降らないですし、少しずつでも確保しないとこのままではいずれ底をつきます」

「そうだなぁ」

「手分けしてやるか」

「事情を皆に説明して交替でやりましょう。あと困るものは?」

「そうねぇ。魚が貴重なタンパク源だけど、その他にもないかしら?」

「コメは無くなったし、パスタとマカロニもそろそろ無いよ。小麦粉も無くなる」

「動物性たんぱく質がもっと取りたいとこだね」

「ん――。食材的に贅沢を言えば、鶏卵とは言わなくても卵と、ウシかヤギの乳が欲しいとこだね」

「ここだと贅沢品よねぇ」

 そう言ってジャンとミラは笑った。優奈はちょっと思案すると改めて提案する。

「ボンベはないけど、潜って貰って貝とか取って貰いましょうか?」

「いいかも。ケイタ達に相談しよう」

「島の反対側も捜索する?」

「そうですね。――それに、地図を作ろうかと思ってます」

「地図?」

「はい。大まかなのでいいですけど、地形と位置の確認に。食べ物の生息地と取れるもの、海の釣り場とか。
 基本食べ物用です。そうすれば担当を決めて取りにも行けるし。今、それぞれが独自に持っている情報を一元化したいなって」

「いいね。必要だよ!」

「ありがとうございます」

「早速、相談して決めよう」

「危ないので、捜索は何人かで行動した方がいいと思うんですけど。日常の作業もあるので、半分ずつに分けて」

「それじゃあ、今日の夕食で話し合おうか?」

「はい。こういう時は焚火の前にしましょうよ!」

「いいわね。じゃあ、外で食べられるものがいいわね」

「そうですね。――あとジャンさん」

「なんだい?」

「今まで作った物のレシピって有ります?」

「簡単なヤツなら」

「それも一冊にしたいんです。他の子たちが作って好評だった物もいれて。そうしたら、ジャンさんも楽になるし」

「でも僕が書くとイタリア語だよ?」

「はい。英語訳と日本語訳は私とソンホさんで。レシピを書く時に余白を充分取って頂ければ」

「英語訳からなら僕や杏子ちゃん、修平君も手伝えるんじゃないかな? 食事が充実していけば、僕の本業も必要ないし。食事は身体を作る基本だからね。むしろ手伝うべきだよ」

「優奈はなるべく手を空けておいた方がいいわ。それでなくても、忙し過ぎよ?」

「大丈夫ですよ。でもわかりました。お願いできますか?」

「もちろん!」

 ジャンとミラは、早速レシピに付いて話し始めていた。



「そう言えば佐伯先生。薬草と香草の手帳どうなってますか?」

「だいぶ進んでるよ。漢方になりそうなものも、島でいくつか見つけた」

「わぁ――すごい! さすがですね!」

「いやいや。優奈ちゃんに流石って言われるとね」

 そう言って佐伯は苦笑した。

「さすがは、優奈よ!いつもいつも色んな事を思いつくわよね」

「随分古風な調理法も知ってるし」

「お母様から?」

「はい。でも、母は中学生の時に亡くなったので、サチさんって方にも良く教わっていて」

「サチサン?」

「ええ、通いの家政婦さんなんですけど」

「あら、優奈ってお譲様だったのね?」

「そんな事ないです! 母が亡くなって、父は仕事で海外が多かったので」

「なるほど」

「今時の子は知らないことが多いんじゃないかな? 経験が生きているね」

「はい」

 優奈は佐伯に、教わっておいてよかったですと笑うと、ジャンが笑いながら声を掛けた。

「優奈はこの島で女神だな!」

ジャンの過分な褒め言葉に顔を赤くしてうろたえる優奈を見て、相変わらずだと3人が笑った。

「ホントに。あなたにならいつでも協力するわ!」

「ありがとうございます」

 ミラの言葉に、優奈は嬉しそうに笑った。















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