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誓約の地/漂流編・29<対決(3)>



焦燥と嫉妬を持て余た2人の男が、ふとしたキッカケで一触即発!


殴り合いの代わりに提案された恨みっこなしのゲーム対決。



その優勝賞品を手に入れたのは?





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「大体いつも、杏子が言いだすと私が景品になるんです。言い出したら聞かないから諦めてるけど」

 キャンプ地から西側の海岸を歩き、優奈がため息をついた。

 まぁまぁと宥めながらヒョヌは笑っている。



 緊迫の決勝戦――――

 勝者はタッチの差でヒョヌだった。

 大歓声の中でも渦中の男たちに笑顔はなく、ただ肩で息をするようにして黙っていた。


 杏子は呆れたように肩をすくめて、2人に話しかける。

「恨みっこなし。勝ちは勝ち、負けは負け!」

 そう言って優奈にウインクした。

 夕暮れまでには帰ることっ! と父親のように念を押して、2人をそっと送り出した。

「どこに行きますか?」

「ん――。私は景品ですからお供しますよ」

「そっか。じゃあ、優奈さんが嫌がりそうな場所にしよう!」

「え――――!?」

 慌てて抗議する優奈がおかしくて、ヒョヌは噴き出した。

「もう――」

「貝殻でも拾いに行く?」

「私はいいですけど、いいんですか? 夢中になっちゃいますよ?」

「それもそうか。それじゃつまらないかな」

 本音を言えば、向かう先はどこでもよかった。

 共同生活でまとめ役をやっている優奈は、いつも忙しく常に誰かと一緒にいるので、邪魔をされずに2人でいられるなら、何をしていても楽しめると思っていた。

 ただそれを素直に言うのはなんだか気恥ずかしいので、ついからかってしまう。

 遭難してから、一番幸せな時間かもしれないなどと考えていると、不思議そうな顔をしている優奈と目があった。

いつの間にか口元が緩んでいたらしい。

 どうしたんですか? と聞く優奈の質問に何でも無いと答えて、今度は本当に笑った。

「練習しよう!」

「はい? 何の?」

「海の砂」

「――――!」

「南の島にいるのに海に、入れないんじゃ勿体ないでしょ? あのゲームの発端も、それが原因だし」

「そう、なんですけどね」

 ちょと口を尖らせている優奈が、困った顔で思案している。

 普段のしっかりした彼女からは想像できないほど、子供のような反応が楽しくて仕方ない。

「僕が勝ったからいいけど」

「ビックリしました! ヒョヌさんって、かなり負けず嫌いなんですね!」

 男同士の勝負ですね! とくすくす笑う優奈を見て、ヒョヌは微妙な顔になる。

――負けず嫌いであることは間違いないが、そのせいで対決したと思われているのだろうか?


 まさかね…と一人ごちていると、なんですかと問いかけられて慌てて首を振った。

「否定は、しない」

「しないんですね?」

「まぁね。杏子さんに上手く乗せられた感じだけど」

 それでも、勝ったから良かったとヒョヌは思っていた。

 負けていたら、今頃この時間を、こんな気分で過ごせてはいなかったはずだからだ。

 そう考えて、ふと修平はどうしているだろうかと、それが気になった。



「でも、ありがとうございました」

「ん?」

「助けてくれて」

 優しいんですねと感謝されて、ヒョヌは苦笑した。

 いつになく熱くなった自分を思い出す。

 あのままだったらきっと殴り合いになっていただろうなと考えていた。

 この年になってそれはちょっと大人気ないなと反省する。

 優奈へのあからさまな好意を隠さない修平と同じように、あれで自分の気持ちも全員にばれたはずだ。

 たぶん――優奈以外には。



「……ちょっと、大人げなかった?」

「ちょっとカッコよかった!」

「ホント?」

「はい!」

 足も速いんですねと、純粋に称賛してくれている様子を見て脱力する。

 惚れた弱みを差し引いても彼女は美人で、すらりとした手足から想像できるプロポーションも申し分ないと思う。

 何でも器用にこなし、誰にでも平等に優しくできる人柄も好感が持てる。

 当然今までも随分異性にモテただろうに。


 この人は、破格に鈍いのか――――?


 絶対わかってないんだろうなと苦笑していると、両手をぎゅっと握って、急に考え込んでいた優奈が口を開いた。

「あの、海に入っている間は、絶対傍にいてくれます?」

「もちろん」

 すると、何を納得したのか1人無言で頷いている。

 そして小さくガッツポーズをしながら真剣な目をして見上げてきた。

「頑張ってみます!」



 そうだねと笑いながら、やっぱりわかってないんだろうなと脱力した。














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Comment

優奈ちゃんは完ぺきですね。
美人でバツグンのプロポーション…
うらやましぃ!

いやあ、「鈍い」から逆に、モテるのでしょう、ヒョヌさん?(笑)
西幻響子 さん、こんばんは^^
西幻響子さん、こんばんは^^
本当に鈍い(笑)
普通の女の子ではダメだったとはいえ、あまりにも過ぎますね^^;
優奈の鈍さが堪らない男どもが、右往左往しておりますね(笑)

  • 2011/10/24 18:12
  • YUKA
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