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誓約の地/漂流編・21<秘恋(1)>



胸に去来する様々な想いに翻弄されて、


踏み出せない男(ヒョヌ)と臆病になる女(優奈)のすれ違う想い。





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 ヒョヌは砂に埋まった貝殻を見つけて拾い上げた。

 自分の両手を合わせたぐらいある、ドレープが入ったような波打つ曲線のシャコ貝だった。

「何でこんなものが?」

 波に晒されていたからだろうか。それとも、船からの漂着物なのか。

 生きもののはずのその貝は割れたように半身だけになり、波間に打ち上げられたサンゴのように真っ白だった。

 料理の皿代わりに使われることもある大きな貝。

 何かを入れるにはちょうどいい大きさだ。

 優奈……喜ぶかな?

 そう思って優奈を探した。








     ***








 優奈は砂浜で、サンゴや角の取れた綺麗な半透明の石を集めていた。

 特に何をするというわけではない。

 こういう綺麗なものが大好きだった。

 小さな貝殻や石、サンゴを抱えるようにして夢中で探していると、後ろから声を掛けられた。

「優奈さん」

 振り返ると、優しく微笑むヒョヌがいた。

 微笑んで見つめるヒョヌに優奈の鼓動が速くなる。

「はい」

「これ、使います?」

 ヒョヌは拾った貝を優奈に差し出した。

「わぁー! どうしたんですか、これ?」

「さっき、拾って。あ――、そんなに手に持って! はいどうぞ」

「…………いいんですか?」

「僕には必要ないです」

 優奈は持っていたサンゴなどを全部入れて、まるで可愛い雑貨のようになったそれを眺めて笑っいる。

「可愛い――! ありがとう!」

 いつものように花が咲くようにふわっと笑う優奈が眩しくて、久しぶりにみた彼女の笑顔にドキッとした。

「何してるんですか?」

「別に。綺麗だから集めてたんです」

「女の子だねぇ。優奈さんの事だから、何かに必要なのかと思ったんだけど」

「あっ、その言い方。私だって可愛いものとか好きな普通の女の子なんですよ!」

「そう、だよね。ごめんごめん」

 拗ねたように抗議した優奈は、慌てて謝るヒョヌを見てくすりと笑った。

「岩の向こう側に、そういうのいっぱいあったけど」

「ホントに? どこですか?」

 弾けるように問いかけてくる優奈につられて、自然とヒョヌも笑顔になった。

「嬉しそうだね。案内しましょうか?」

「いいんですか?」

「僕はなにもすることがないから平気。……行きますか?」

「はい!」

 大きな榛色の瞳をキラキラ輝かせて、まるで子供のようにはしゃぐ優奈に心が弾む。

 この笑顔が好きだった――



 優奈は貰ったシャコ貝を大事に抱えて、ヒョヌの後を追った。















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Comment

確かに可愛いものや綺麗なもを集めるのはどの時代でも変わらないですからね。豊かさを求めるのは縄文時代でも同じことですからね。そういうゆとりを持つのは非常に大切だと思います。
  • 2013/05/09 06:50
  • LandM
  • URL
LandM さん
LandM さん、こんばんは^^
コメントありがとうございます!!

縄文時代からこういう習慣があったのですか!
知りませんでした。
へぇ~~~心の豊かさって感じですね。
ということは、縄文時代にはかなり現代に近い思考があったのですか。

特に女性は綺麗なもの、可愛いものに無条件で惹かれますからね。
異性を対象とするなら……男性も、ですね(笑)

  • 2013/05/12 18:03
  • YUKA
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