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誓約の地/漂流編・4<合流>





優奈とヒョヌ、修平と杏子。


深く係わり合うことになる男女4人の出会いは、ここから始まった。







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「心配したんだぞ!」

 そう言って、修平は優奈のおでこを手の甲でそっと小突いた。

「あっ! ご、ごめんなさい」

 優奈は修平の剣幕に反射的に謝った。

 修平はため息をつくと、優奈の後ろにいるヒョヌに一瞥する。

「……で、誰?」

「えっ? あ、昨日杏子を探している途中で出会って。気を失ってたから、気がつくまで待ってたら……夜になっちゃって」

「何かあったのかと思った。1人で行かせるんじゃなかったって、本気で後悔したんだぞ!」

「ごめん。ありがとう、心配してくれて」

 そう言って微笑んだ優奈に見つめられて、修平は柄にもなくちょっと照れた。

「別に、何もなかったならいいけどさ。真っ暗ん中、ビビって泣いてるかと思った」

「ヒョヌさんがいたから平気でした!」

 そう言って舌を出した優奈が嬉しそうなのを見て、修平はふーんともう一度ヒョヌを一瞥した。



「優奈!」

 優奈が声の方を振り向くと、そこに杏子が座っていた。

「杏子!」

 優奈は杏子に駆け寄り抱きついた。

「よかった――! 心配してたんだよ! ずいぶん探したんだから」

「ヒョヌさんを見つけて、私のこと忘れてなかった?」

「ちょっと! 人がどれだけ心配したと思って!」

「ごめん、ごめん! 冗談だってば! 修平に聞いたわ。あ、彼にお礼を言ってね。随分外れて一人ぼっちだったところを見つけて連れてきてくれたの」

「そうだったんだ……ありがとう!」

 振り向きざまとびっきりの笑顔でお礼を言われ、修平はちょっと得意そうだった。


 杏子と談笑する優奈の傍に、そっとヒョヌが近付いてくる。

「友達、見つかってよかったですね」

「ええ。ありがとう」

 優しく微笑むヒョヌと、嬉しそうに笑顔で答える優奈の微妙な親近感を杏子は見逃さなかった。



「随分親しくなったのね」

「えっ? あ、違っ!」

 杏子の意味ありげな視線にあわてて弁解する。

「ヒョ、ヒョヌさんも心配してくれてたのよ!」

「あら、そうなの? ありがと」

 杏子お得意の華やかな笑顔と色っぽい視線をヒョヌに向けた。

 ヒョヌに微笑む杏子の言葉の意味を、優奈はあわてて通訳する。

「無事でよかったですね。優奈さんずっと心配してたから。本当に良かった」

 杏子に優しく微笑むと何かに気づいたように歩いて行った。

 どうやら知り合いがいたらしい。

「あらま。罪作りな笑顔ね。優奈はあれに参ったのか――」

「ちょっと!」

「別に変な事言ってないでしょ? 笑顔が素敵なの――って言ってたじゃない? あぁ、ファンとして、だったわね」

 そうだけど――と聞き流そうとしたが、顔が赤くなるのはどうしようもなかった。

 意味ありげな表情の杏子に優奈は苦笑する。

「杏子、ヘンな事考えないでね?」

「失礼ね! 私がいつヘンな事考えたのよ!」

「よかった。ヒョヌさんが日本語できなくて。杏子も韓国語わかんないし」

「優奈、何か?」

「……なんでもない」

 こういう表情の杏子には何を言っても意味がないと何度も経験している。

――どうか杏子が変なこと考えませんように。

 優奈はもう一度苦笑しながら、半ば本気で祈っていた。









   * * *








――ホーント、優奈は可愛い。

 大概の女は――杏子を目に敵にするか、いなかったように無視をする。

 でもそれはどちらも同じ、同性として過剰に意識している証拠だった。

 杏子自体は意に介さないが、それでも気分のいいものではない。


 優奈はそんな気配を感じさせない、数少ない貴重な友人だった。

 いや―― 

 そんな言葉では表現できないほど、唯一無二の『特別』な存在でもあった。


 杏子のような派手さはないが、見た目は相当な美人の部類に入るはずだ。

 清楚なお嬢さんというかわいらしい見た目に、気取らない性格。

 男性女性ともに平等に接するため、同性からの人気も非常に高い。

 同性に極端に嫌われる杏子とは昔から対照的だった。

 そんな彼女が、久々に気になる人ができたと言ってきた時にはどんな奴かと期待したのだが。

――まさかの俳優……しかも韓国。

 初めて聞いた時、杏子は内心ゲンナリした。

 年配女性か10代の少女じゃあるまいし、27歳にもなって恋愛する気はないのか! 

 愚痴ったが、なんといつの間にか韓国に留学までしてしまった。

 流石の杏子も驚いて苦言を呈した。

 『語学留学は仕事に生かせる』

 という言い訳じみた話を聞いて、一応メリットもあるのかと納得したばかりだったのだ。


――どうなの? って思ってたけど。脈、ありそうね。


 こと恋愛に関しては熟練者であると自負する杏子は、ほんの少し首を傾げる。

 ヒョヌが自分に向けたものとは違う、優奈への微妙な気持ちを敏感に感じ取っていた。

 自分のこの手の勘は良く当たる。

 優奈に関して言えばハズレたことはない。


――仕方ないわね。


 杏子はいつの間にか、不敵な笑みを浮かべてヒョヌを見ていた。
















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Comment

遊びにきました ^^

南の島での、スターとの恋。とてもドキドキします。
しかも、ヒョヌさんのほうも優奈に好感をもっているようす。
これはなかなか、これからの展開が楽しみです♪

リンクさせていただいてもよろしいでしょうか?
できれば相互していただけると、嬉しいです。
西幻響子さん、こんばんは^^

御訪問ありがとうございます^^
しかもコメントまで残して頂いて。。。嬉しいです^^
まだまだ続きますので、頑張りたいと思います*^^*

返信コメ受け取りました。
相互リンクさせて頂きます^^
これから、よろしくお願いします^^
  • 2011/10/19 17:14
  • YUKA
  • URL
意外にこの展開がどこかで何かに
引っかかったりしないといいですけどね。
遭難から何に着目するかによって、
この展開が是となるか否となるか分かれますからね。
恋も悲劇に変わってしまうのが人ですからね。
・・・あ、恋愛ストーリーですね。
似つかわしいコメント失礼しました。
  • 2013/02/28 15:31
  • LandM
  • URL
LandM さん
LandM さん、こんばんは^^
コメントありがとうございます!
お返事が遅くなりまして、大変申し訳ありません。

そうですね~~
本当に遭難という特殊な環境では、どこに注目するかで変わってくるかと。
はい、ご指摘の通り恋愛小説ですので(笑)
かなり悲劇的な展開にはならないのですが^^
お約束的な展開として、「男同士の恋敵対決」が待っています(笑)
そしてぐだぐだと悩む濃いの駆け引きが少々~~~

内容は重くないので、お時間がありましたらまた気楽に読んで頂けると嬉しいです^^
  • 2013/03/02 19:40
  • YUKA
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