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誓約の地/漂流編・68<恋風(1)>


動き出したそれぞれの感情。

そんな中、再び誘われる海水浴に向けて水着を選びながら交わす

優奈と杏子のガールズト―ク。

注)相変わらず、杏子の発言は暴走気味です(少々修正しました)



恋風(こいかぜ) 

恋の思いにとらえられて自由にならないさま。風に悩まされるさまにたとえた語。





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 あの水着で海水浴を楽しんだ3日後――


 エリとリョウコに楽しかったからともう一度水着選びを提案された。

 特に拒絶する理由もないので、優奈は杏子と共に教会の部屋で新しい水着を選んでいる。


 開け放たれた窓の外では、ヒョヌがケイタに話しかけていた。

 きっと日本語の先生を頼んでいるんだろう。

 時間を見つけては日本語の勉強を続けている彼は、もうほとんど問題なく話せるようになっていた。

「あらあら、まだ浮かれてるわね」

「誰が?」

「ヒョヌさん」

「そう? いつも通りじゃない?」

「私の眼は、誤魔化せなくってよ?」

「でしょ?」

「――まぁ」

「ねぇ、避妊した?」

「え? たぶん」

「たぶん? ここで妊娠したらどうするの? 言ったでしょう?」

「わかってるけど、憶えてないの」

 苦笑して微笑む優奈を見て、杏子は呆れて肩をすくめた。

「そう。じゃあ、私が聞いてくるわ」

「やだ。――いいから!」

「じゃあ、自分で聞ける?」

 杏子の一言に、グッと押し黙る。

――今更それはちょっと恥ずかしい。

 俯いて考え込んだ優奈に苦笑して、杏子は話を続ける。

「優奈に責任持って貰わなきゃね。自分の快楽のために、好きな人を巻き込んじゃいけないわ」

 ヒョヌを見つめる杏子の視線に少し慌てた優奈は、頬を染めながら杏子の腕を引いた。

「大丈夫よ。それに――別に、オッパだけじゃないんだし」

「あら。そんなによかったの?」

「…………」

「やるわね」

 杏子はヒョヌの後姿に視線を送り、ひとり納得するように呟いている。

「何も言ってないじゃない」

「優奈の顔に『すっごく良かったのぉ――』って書いてあるわよ? 言ったでしょ? 私の眼は誤魔化せないって」

 歌うように楽しげな杏子の様子に、優奈はこっそりため息をついた。

「ヒョヌさんに聞いてこようかな。今の彼なら浮かれて話してくれそうだしね。優奈がどうだったかも教えてくれそう。私、聞 きだすのも上手くってよ?」

「や、やめてよ! 杏子はホントに聞きそうだから怖い」

 優奈は杏子の腕をとって引きとめる。

「当然聞けるわよ。ヒョヌさんはSなのかしらね」

「え? どうして?」

「どう見ても優奈はMだもの。優奈がそんなにいいっ! てことはそうでしょ?」

「そう、かなぁ」

「だって、恥ずかしい事されると困るでしょ? それは無理って思うでしょ? でも逆らえなかったでしょ?」

「…………」

「でしょ?」

「もう、すぐ念を押す! でも、そんな趣味ないから!」

「――そんな趣味?」

 優奈の慌てぶりを笑っていた杏子だが、その一言に引っかかった。

「そう!」

「そんな趣味だなんて言ってないわよ」

「え? だって――」

「そういう系だって話。――あなた一体どんな事想像したの?」

 うっと詰まってから顔を真っ赤に染めた優奈を見て、杏子は噴き出した。

――知識が有るんだか無いんだか。

 思考が少し惚けた方へ進みがちな優奈を、杏子はひとしきり笑った。

「相変わらずね。――ねぇ、顔が真っ赤よ?」

「そんな話したら、当り前でしょ」

「やぁね、もうそんな年じゃないわよ。普通よ?」

「そ、そうかな」

 普通以上に大胆で経験豊富な杏子が言う「普通」を、優奈は全面的には信用できなかったが、やっぱり年相応じゃないのかなとため息をつく。
 


 でも勉強って出来るわけないものね。そういうこと、みんなどこで知るんだろう。

 経験なのかなぁ。

 でも、さすがに杏子に聞くのは怖い気がするのよね。

 杏子は経験が有るのかな。

 まさかね。それはちょっと似合いすぎるけど。

 ――えぇ? そうだったらどうする? ますます聞けないじゃない! 

 ――あれ? 知ってどうするんだろう。そんな経験って必要? 

 そもそも何の話だったっけ? 必要、ないんじゃない?

 あ! な、ないない、そんなことしないし!


 一人考えに沈んで、急にあわあわと慌てる優奈を杏子は横目で見ていた。

 どうせまた、わけのわからないことを考えているんだろうと苦笑する。

 暫くそのまま放っておいたが、しびれを切らして声を掛けた。

「――で?」

「え? で?」

「どうだった?」

「どうって……まだ聞くの?」

 しつこいと言い放って優奈が苦笑する。

「優奈がちょっと物足りないって言ってたって言ってこよう!」

「そ、そんなことないわよ!」

「そう?」

「もう!なんでいつも恥ずかしい事聞くのよ」

「だって、優奈が可愛いんだもん!」

「――え?」

 一瞬、唖然とした。――そんな、理由?


 理由はそれだけ? と聞き返すと、そうねと笑われた。

「ん――、半分趣味みたいなものかも」

 楽しいのよ、としれっと言い放った杏子に、優奈は開いた口が塞がらない。

 今まで、そんな理由であれこれ聞かれてきたのかと脱力した。

「もう、言わない」

 いつも動揺しながら、正直に答えていたのはなんだったんだろう。

 杏子の趣味に付き合わされていただけだったのかと、ガクッと首を落として項垂れた。

「あら、いいじゃない。親友でしょ?」

「それ、関係ないでしょ。 普通聞かないでしょ?」

「私は聞くの!」

「…………」

 そんなこと断言されても困る――と優奈は心の中で愚痴った。

 だからと言って、私にばかり聞くなといえば杏子のことだから自分の話も始めるはずだ。

 参考どころかきっともっと恥ずかしくなって、結局降参するのは自分の方だと目に見えてる。


「優奈が言わなくても、相手に聞けるけどね。 優奈はどうだったか、本人が知りたがってるって聞いてきましょうか?」

 明らかに楽しんでいる杏子の様子に、優奈はもう一度脱力した。

 もう何を言っても無駄だと、経験で知っている。

「……脅迫だ」

「あら、失礼ね。優奈のためじゃない」

「どうして?」

「いろいろアドバイスできるしね」

「――いらない」

「まぁ、自信あり?」

「そうじゃなくって。――オッパに聞くから」

「何を?」

「そういうこと。困ったり、どうしたらいいかわからない時は、オッパに言うって約束したの」

 だから、大丈夫だと笑う優奈を見て、杏子はふぅんと相槌を打った。

「 ヒョヌさんが言ったの?」

「うん。なんだか色んな事がわからなくて動揺しちゃって。いっぱい失敗しちゃって」

「失敗?」

 問いかける杏子に、それはいいのと優奈は慌てて付けたした。

「それで?」

「無理しなくていいって。――そのままでいいって言ってくれたから」

 恥ずかしそうに、でも嬉しそうに微笑む優奈の瞳を覗きこんで、杏子はくすりと笑う。

「いい男ね」

「うん」

「あの見た目で、あっちも凄いなんて素敵!」

「――え? それはダメ!」

「何が?」

「杏子が迫ったりしないでよ?」

 優奈の真剣な表情に一瞬目を見張った杏子は、次の瞬間爆笑した。

「そんな事言うの初めてね。彼は私のものってこと? ビックリ。よっぽど良かったのね」

「そ、そんなこと言ってない!」

「だって、他の子にしたらイヤでしょう?」

「それは、嫌だけど」

 それはイヤって普通でしょ? と呟く優奈に杏子は微笑みかける。

「まかせて! 完全に応援するわ!」

 急に大声を出した杏子にビックリして、優奈は少しのけ反りながら苦笑した。

「そんなに気合入れなくても」

「イイ男は逃しちゃだめよ。身体の合性だって大事なんだから」

「逃さ、ないけど」

「あら、言うじゃない! まぁ、優奈なら大丈夫だけどね」

「なんで?」

「あなたに惚れこんで、実らない恋に死ぬほど焦がれた男しか見たことないもの。ヒョヌさんもそうなるわよ」

 確実にね! と断言して笑う杏子に、大げさだなぁと優奈は苦笑した。

「大丈夫。私の眼は誤魔化せなくってよ?」

 そう言って、杏子は瞳を輝かせる。

 自信ありげな杏子に何だか少し嫌な予感がして、優奈はぼそりと呟いた。


「杏子、なんか怖い」

















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Comment

こんばんは!
なによしです。

おおお・・・二人が大胆な話題を楽しそうに喋っている・・・!ガールズトークいいですね!ほのぼのとした中にかなりの際どさが潜り込んで居て、存分に楽しませてもらいました!
さて、コトが終わってからもう3日も経ったのですか。まだ、修平さんもコウジさんも動きを見せませんね・・・でも、確実に何かが起こりそう。歪みの因子は揃いつつありますし・・・
でも、二人の仲がラブラブで結束も固いみたいなので、きっと乗り越えるのでしょうね、二人で!
いつも楽しませていただいて、ありがとうございます(*´∀`*)
応援しています!次回も楽しみです!
  • 2011/11/05 00:19
  • なによし
  • URL
なによしさん
なによしさん、こんばんは^^
コメントありがとうございます^^
ふふふ。
ちょっとね~~色々ね~~……言えないんですけど(笑)
合間にちょっと小ネタを挟んでいるというか。
私的には、この誓約の地の世界観や人物達の交流で必要なエピなのです^^
これからですから、よろしくお願いします^^
  • 2011/11/05 02:16
  • YUKA
  • URL
優奈と姐さんのガールズトーク!
何だか微笑ましいけど
嵐の前の静けさの様でドキドキしてます!

姐さん、優奈を守ってあげて!!
って、それはヒョヌの役目なんだろうけど^^;

今日も楽しめました。
毎日更新もお疲れさまです^^
続き楽しみにしてます☆
優奈ちゃん、杏子姐さんにすっかりふりまわされてるかんじですね(笑)
うーむ。杏子姐さんみたいな友達がいたら、なかなか大変そう。でも頼りにもなるし…。優奈ちゃん、ひらきなおってもっと姐さんにアドバイスもらっちゃったら色々と(!?)勉強になっていいかも(笑)

それにしても気にかかるのがコウジと修平。修平も見ちゃったしなー、二人のキスの場面を。えっ!?小ネタって!?

(すっかり回復しました。あたたかいコメ、ありがとうございました ^^)
チョコさん
チョコさん、こんばんは^^
コメントありがとうございます^^
ふふふ。
さすがチョコさん、ずっと読んでくださってますもんね~
杏子とヒョヌは優奈を守れるか?
この先楽しんで頂けたら嬉しいです^^
ま、その前に色々ありますけどね~~
ありがとうございます!
続きが楽しみ……そう言って頂けることが私を支えています(笑)
  • 2011/11/05 17:35
  • YUKA
  • URL
西幻響子さん
西幻響子さん、こんばんは^^
こちらにもコメントをありがとうございます♪
杏子のような友人、本当にね~~振り回されるでしょうね(笑)
2人が対極だからいいのかもですけど^^
勉強~~~!^^そんな事言ったら実践させますよ? 杏子姐さんは(笑)
もう、こういう会話自体が小ネタでもありますけど^^
杏子の優奈弄り~~、ヒョヌの優奈弄り~~、実は私が一番楽しんでます♪
本題にも入らないとね~~
その前にちょっと過去エピが待ってますが。

体調回復したんですね!よかったぁ。。。
いえいえ、私の方こそいつも温かい励ましとコメントをありがとうございます♪
また銀次に会いに行きます(///ω///)テレテレ♪
  • 2011/11/05 18:18
  • YUKA
  • URL
こんばんは♪
ようやく更新に追い付きました~。

コウジくんが加わっちゃいましたねぇ。
ヒョヌくん・修平くん・コウジくん・そして優奈ちゃん、
この四角関係がどうなっちゃうのか気になります~(σ≧▽≦)σ
ヒョヌくん&優奈ちゃんカップルには、
どうかこのままうまくいっていて欲しいなぁ……

ではまた遊びに伺います(*´∇`*)♪
滝元 真那 さん
滝元 真那さん、こんばんは^^
コメントありがとうございます♪
更新に追い付いてくださったんですか~?ありがとうございます^^
ですよね~~
2人には、まだまだこれから……(自主規制
はい、いつでもお待ちしています*^^*
  • 2011/11/05 23:58
  • YUKA
  • URL
こんばんは
YUKAさん、こんばんは。

優奈さんと杏子さんの会話のシーンはなんだか見てはいけないものを見ている気になりますね。
女性同士の会話を盗聴でもしてるような気になりますw

今日はこの辺で失礼いたします。
執筆頑張って下さい。
  • 2011/11/19 23:02
  • gimonia
  • URL
gimonia さん
gimoniaさん、こんばんは^^
コメントありがとうございます^^
楽しんでいただけたでしょうか。そうだとしたら嬉しいです^^
ええ、盗聴ですね♪
杏子は、優奈をかまうのが楽しくて仕方ないという……。
これから、ヒョヌとのシーンの覗き見も待ってますよ^^
いつもありがとうございます。出来ればまた、コメントを寄せてください^^
楽しみにしてお待ちしています^^
  • 2011/11/20 08:05
  • YUKA
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