<海洋散骨の時期と家族ではじめに考えること>本来、遺骨は四十九日にお墓へ納骨するのですが
散骨は骨を細かくして海に還してしまうので、一旦行うと二度と遺骨は戻りません。
ですので、家族中でよく話し合い、散骨に全員が同意して行うことが重要だそうです。
この時に納得できない人がいると、どうしても後で揉めることになるからだそう。
ゆっくり決めてかまわないのです。
納骨する場合と違って、散骨をしなければいけない時期は特になく、
四十九日に合わせる方から、一周忌で散骨されるのも有りだそうです。
最近では、何十年もたってから墓守の子供がいないなどということもあって
お墓から出して散骨することに決める方も少なくないそうですから。
母は生前から散骨を希望していたため、納骨はせず、自宅でずっと保有することに。
一旦納骨をした遺骨は、長くお墓の中に入っていると
後から遺骨を綺麗にするという行程が増えるためです。(費用もかかります)
<海洋散骨を決めて考えたこと>まず決めなければいけないことは
1)散骨を希望する場所
2)散骨時の参加人数と大まかな月(または季節)
3)散骨を手配してくれる専門業者
(1)と(2)は家族で話し合う必要があります。
季節にダメという時期もないそうです。
基本的にトイレつきの屋内で過ごせる船であれば、春夏秋冬大丈夫。
ただし、海の荒れやすい時期は出航できない不可抗力の発生する可能性があります。
予定は出来る限り余裕を持って決めることが重要だと思います。
私の家は、約2ヶ月前には時期を決めて予約表を出してありました。
また、参加人数が多いと日程を決めるのも大変です。
その辺を考えて決めないと、当日がキャンセルになったりしたときに
遠方から来る方は大変な事に。
うちの場合、母の所縁の地、想い出の地ということで
「東京湾」か「熱海」が候補に上がり、「熱海」に決まりました。
(2)は一応の人数を決めておきます。
(3)は(1)が決まってから調べた方が良いと思います。
業者によって出航を扱っている場所が違うからです。
<散骨について調べる>母が亡くなることは思ってもみないことでしたので、
亡くなってから「さて、どうしたらいいのだろう?」と言う感じでした。
遺族は通夜、葬式などでほとんど息をつく暇も有りません。
茫然としていても、次から次へと色々な事がやってきて、手配や指示を出さなければならない。
本当に細かいことを言えばきりがないです。
そのほとんどを父がやってくれていましたが
一家の主婦の不在は、妹や叔母の力を借りながら長女である私が埋めることに。
母が自分の希望を色々決めてくれていたお陰で、
私たちはその方針に従うということで乗り切った感じです。
「遺言書」というほどのものではありませんでしたが
生前から持ち物の形見分け、葬儀、墓などについて希望を教えてくれていたんです。
ですから、とにかくそれに従うかどうかという意思確認を行いました。
散骨について聞いていましたが、全く知識がなく
海へ還すというだけの漠然としたものでした。
そのことを踏まえて自宅に帰り、ネットで検索。
<「海へ散骨 熱海」と入れて検索>
散骨する海はどこでもいいわけではありません。
一応専門会社があって、そこに依頼して行うことになります。
「熱海」での散骨を手配してくれる会社を検索してみます。
予算などが全く分からないため、十数社を検索したでしょうか。
その中で希望に合うところを数社選び、あらためてどこが良いか検討し、必要なら資料を取り寄せました。
私が全権を任されましたので、比較する時に考えたことも書き留めておきます。
<散骨の方式>大まかに分けて3つ。(基本費用のみ)
一、個人散骨(プライベート散骨)
1家族でクルーザーを貸し切り、完全に故人の身内だけで行うもの。
散骨場所、散骨日は希望に添えます。
人数の上限は1~40人ほど。(会社による)
参加を希望する家族が多い場合は、この方がいいです。
しかし費用は高め。(15万~50万)
二、合同散骨数家族で1艘のクルーザーなどの少し大きめな舟で行うもの。
散骨日は、会社によって出港日が決められています。(大概土日)
人数は2~4名(その後は参加人数が増えるたびに、1人約2万円ほど料金がプラス)
費用を抑えたい場合はこの方がいいかもしれません。
費用(8万~22万ほど)
三、委託散骨
業者に依頼して海への散骨を行う。代行なので遺族は行きません。
自宅からかなり遠い海を希望、または遺族少ない場合は良いかもしれません。
費用は一番安く、4~6万円。
以上がほとんどだと思います。
費用は場所と業者で、かなりピンキリです。
一と二でまずは比較検討しましたが、費用と参加人数を考え
我が家は「近親者のみで葬儀をしてほしい」と言っていた母の意向を考慮して
合同散骨にしました。
***
この時、私が業者を選ぶために比較する方法として参考にした項目は
4)散骨希望地を手配できるかどうか
5)使用する船が、トイレつきの屋内で過ごせる船であること
6)費用
7)参加人数に必要な追加料金(合同散骨の多くは3名まで)
8)献杯、献花など、一緒に海へ還すものができるか。(費用は含まれるのか)
9)遺骨の粉砕を受けてくれるか。
10)分骨ができるか。
11)遺骨を引き渡す方法と、その費用。
12)終わった後、追加料金が発生しないかどうか。
13)三回忌、七回忌などの時に海へ行ける海図をくれるかどうか。
でした。
基本的には、どの会社も上記の内容を扱っています。
しかし、オプションになる場合(追加料金が発生する場合)もあるのです。
(6)は合同散骨の場合、たいていの会社が2~4名を上限としています。
我が家はもともと5名参加としていたので、
基本費用に追加人数費用を足した上で、会社の比較検討の指針としました。
その時に内容も考慮。
<かかった費用>決めさせて頂いた会社の費用です。
自分達の出航場所までの交通費は別。
(内訳)
基本費用が10万
追加人数が1名分で2万(上限4名のため)
遺骨の粉砕処理と散骨までの保管が5千円(1柱分)
遺骨を実家まで引き取りに来てくれる費用5千円+実家までの交通費
当日の海洋保険(人数分)
献花(薔薇など花かごを用意)、献杯(お茶や酒など)
遺骨を水溶性の袋に包んで人数分用意、海図
船のチャーター、ガソリン代、スタッフ代
青色は全て基本料に含まれてます。実家までの交通費とは、散骨会社から実家までの高速代+ガソリン代です。
遺骨は自分の手で会社に運べば無料でしたが、父も仕事をしているので来て貰うことに。
その日時は、父と業者で決めて貰うことにしました。
今年の新盆の時までに、資料を取り寄せて実家で私が比較検討したものを提示。
賛同して貰ったので、その会社に決めました。
また、日時はあらかじめ決められた日が資料にあったので
参加者が参加できる日を選んで、第一希望、第二希望を決めておきます。
海への散骨なので、万が一海が時化(しけ)の場合など、船が出ないことがあるためです。
その時にかかる費用もどうなるのかは確認しました。
また、海が母のお墓と同じになるので
三回忌や七回忌など、節目の時に散骨した場所へ行くことのできる海図を頂けるところに。
我が家が選んだ会社は
その会社を通さなくても行けるように、海図を送ってくださるようです。
またなかなか写真を撮ることはできません(船が揺れますし)
そのため、業者のスタッフさんが写真やビデオを撮ってくださることも(有料オプション)
選んだ会社は、写真数枚は無料、ビデオをROMに焼いてくださるのは有料でした。以上の内容で、実際の合計額は15万円弱ほど。
これ以上の追加料金は発生しませんでした。予約などは一旦予約表を記入して送信し、料金を振り込んでから予約完了となります。
資料請求と予約表は、父に確認しながら私がしました。
お骨を引き取りに来て貰う日も予定の段階で決め、その時に分骨希望があれば伝えます。
たいてい散骨日まで業者が粉骨して預かり、骨壷は業者に処分依頼をします。
最終的な話し合いと料金入金は父が行ってます。
父が話しあった業者は、社長さんが自宅まで来てくださって
とても親身で助かったようです。
問い合わせと資料請求は無料です。
時期や予約の催促はされません。(されたら怪しい気が…)
色々な業者様、ご希望に沿う業者様があると思いますので、御家族での比較検討はお勧めします。
<当日まで>日時が決まったら、そこまでの交通手段を決めます。
父に都内まで出て来て貰い、熱海までは新幹線で行くことに。
父が出来ればその後みんなで過ごしたいという希望を叶えて熱海に一泊。
ホテルは父が会社で手配してくれました。
当日の散骨時間に合わせて、人数分の交通チケットの手配は私が代行。
待ち合わせの場所、散骨の船の発着場所
散骨当日の服装などをメールで送り、当日を迎えます。
散骨は海にする場合、
そのことを不快に思う方もいますので喪服ではなく普通の旅行衣装になるのです。
海へ出るので、当日のみの保険に入るため、全員の住所と年齢を父に連絡し
父が業者へ手配を頼みんであります。
散骨前日に、業者から父に当日出航可能だと連絡がありました。
<当日>
午前11:20分
出航の5分前までには集合となっていました。
船に乗り込み、まずは散骨する海域まで出発。
けっこう遠洋に出たのかな?と思います。
浜辺や崖から勝手に散骨はしません。
土地はどなたかの所有である場合もあるので。
ちなみに、土地へ勝手に埋葬はできなかったと思います。
まず、業者の方から予定の説明と挨拶があり
それが終わると、遺骨を入れた水溶性の袋に故人への想いを書きました。
そこで悩むと思うので、事前に考えておいてもいいと思いますが
揺れる船で書くので、短い言葉が良いと思います。
遺骨は細かく砕かれて、パウダー状になっています。
風で船に舞いこんだりしないように、水に溶ける袋に入れてくださることが多いようです。
最初に、委託散骨の方の散骨を業者の方が行っていました。
そのあと1家族ずつ場所を移動して散骨です。(当日は3組いました)
まず献杯(お茶)をして、ひとりずつ遺骨と献花を海へ。
花は束ではなく、花の部分だけが花籠に入ったものが用意され、
ひとりずつ掴んで投げ入れていきました。
母と一緒に、花が綺麗に浮かんでいきます。
綺麗な花が一緒に揺れて、喜んでくれたかなぁと思っています。
全家族が終わると、帰港します。
時間は出航から帰港までで約1時間ほどでした。
<補足>
当日は晴天でしたが海は波が高く、物凄く揺れました。
フェリーのような大型船なら違うのでしょうが、
大型でもクルーザークラスでは波の影響はかなり大きいです。
私の乗り物酔いは筋金入りですので
30分前に酔い止めを飲みましたが、かなりフラフラ。。。
それでも気が張っていたからか、散骨まではなんとか大丈夫でした。
終わってホッとしたのか、顔面蒼白の私を業者の方が代わる代わる心配してくださって。。。
妹曰く、真っ青を通り越して真っ白だったとか。(弟もです^^;)
ご迷惑をかけました><。
その後、一時間ほど海の傍から動けませんでしたが。。。
乗り物酔いが不安な方は、事前に体調管理と酔い止めの準備もしておかないと
せっかくの儀式が苦しいものになります。
<最後に>綺麗な海に揺れながら還っていく母を見送れて
また一つ、区切りがつけられたと思います。
その後、ホテルで母の想い出を語ったり、温泉に入ったり
家族の想い出を増やして帰ってきました。
そこに母はいませんでしたが、きっと居たのだろうと思っています。
家族が集まることが、家族が笑顔で過ごしていることが
何よりも大好きだった母のことですから^^
以上が流れとなります。
この先、いわゆる「法事」と言われるものは、我が家は海で行うことになると思います。
毎年ではなく、三回忌、七回忌などの大きな節目の時になると思いますが。
それ以外の年は実家へ集まって、家族で母を偲ぶことに決めています。
あくまでも私たちが行った一例ではありますが
海洋散骨を検討されている、どんなものか分からずにいる方へ
思い描く一助になれば幸いです。