優奈を守るために課した杏子の忠告。
優奈を守るために決意したヒョヌの報告。
これからに繋がるヒョヌ×杏子のフリ―トーク。
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杏子は優奈を部屋に残したまま外に出ると、ケイタと会話を続けるヒョヌに話しかけた。
「ちょっといい?」
「ん? どうしたの?」
問いかけるヒョヌをの答える前に、ケイタを一瞥する。
「ごめんなさい。ちょっと彼を借りてもいい?」
「いいよ。じゃあ、俺は海岸に行ってる」
「ああ。ごめん」
「いいよ。杏子ちゃんも、後で来るんでしょ?」
「ええ」
杏子が微笑むと、ケイタは楽しみにしてると笑って去っていった。
「何?」
ひっそりする教会の前で、ヒョヌが杏子に問いかける。
「忠告、守った?」
杏子の問いに一瞬目を丸くした。
「――約束は破ってないよ」
杏子が男性を集めて行った忠告――
みんなに言いながら、実は完全に自分に向けられていたあの発言の数々を忘れてはいなかった。
「それを聞きにきたの?」
「ええ」
杏子はそう言って笑うと、肩をすくめる。
「優奈が覚えてないっていうものだから」
――憶えて、ない?
ヒョヌが少し眉間にしわを寄せると、杏子はその顔を覗き込んでくすりと笑った。
「大丈夫よ」
「――何が?」
「全部覚えていないとは言ってないから」
「…………」
――優奈のヤツ、一体どこまで話したんだか。
杏子の発言に思わずホッとしながら、どう受け止めていいのか迷った。
後で優奈に確認しようと決意すると、そんなヒョヌをおいて杏子は歩き出した。
「あ、僕も杏子ちゃんに話があるんだ」
呼び止められて振り返ると、杏子はヒョヌを見つめて小さく笑った。
「修平の件?」
「――気付いてた?」
「まぁね」
修平の想いは隠しても隠し切れていない。
2人とも、このところの修平の変化に気付いていた。
「修平と、話をしようと思う」
「…………」
「まだ反対?」
「いいえ、お任せするわ」
「――わかった」
2人は真剣な目をしたまま、小さく笑いあった。
「大丈夫よ。きっともう取り戻してるから」
「修平?」
「修平と、ヒョヌさんが」
「僕?」
疑問符を浮かべるヒョヌに杏子はヒラヒラ手を振り、それはいいからと笑っている。
答える気がない杏子の様子にため息をつく。
聞き出そうとしてもこの分ではきっと意味がないと判断して、ヒョヌは気持ちを切り替えた。
「杏子ちゃん、優奈は?」
「まだ部屋にいるわ」
「そう」
迎えに行こうか迷っていると、杏子が先に声をかける。
「迷ってるみたい」
「何を?」
「水着。私の勧めは気に入らないみたい」
ヒョヌは以前、頬を膨らませて杏子との水着選びを抗議し始めた優奈を思い出した。
それはきっと困っていたんだろうと想像して苦笑する。
「手伝ってあげてくれる?」
「ん?」
「ヒョヌさんに見せたくて着るんだから、あなたが言えば決めやすいでしょう?」
よろしくねと声をかけて、話は終わりとばかりにさっさと行ってしまう杏子を見送った。
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